神今食(読み)ジンコンジキ

デジタル大辞泉 「神今食」の意味・読み・例文・類語

じん‐こん‐じき【神今食】

平安時代宮廷年中行事の一。陰暦6月12月の11日に行われる月次祭つきなみのまつりの夜、神嘉殿天照大神あまてらすおおみかみ祭り天皇がみずから火を改め、新たに飯を炊いて供え、みずからも食する神事。かむいまけ。じんこじき。 夏》

じん‐こ‐じき【神今食】

じんこんじき(神今食)

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精選版 日本国語大辞典 「神今食」の意味・読み・例文・類語

じん‐こん‐じき【神今食】

〘名〙 (「じんごんじき」とも) 禁中の神事。陰暦六月と一二月の一一日、月次祭(つきなみまつり)の夜、天照大神を神嘉殿に勧請(かんじょう)して、火を改め、新しく炊いた御飯を供え、天皇みずからこれをまつり自身も食する儀式新嘗祭(にいなめまつり)に似ているが、新嘗祭は新穀を用いるのに対し、これは旧穀を用いる。かみあげ。かんいまけ。じんこじき。じんこんけ。《季・夏/冬》
続日本紀‐延暦九年(790)六月戊申「於神祇官曹司、行神今食之事

かん‐いまけ【神今食】

〘名〙 (「かむいまけ」と表記) =かみあげ(神今食)《季・夏》
随筆玉勝間(1795‐1812)六「神今食は、じんごんじきと、字音にのみ唱へ来りて、正しくはいかに唱ふべきにか、昔よりさだもなく、しれる人なし。〈略〉つらつら此名を考ふるに、加牟伊麻気(カムイマケ)と唱ふべき也」
[補注]かみゆまけ(神斎食)の転〔大言海〕ともいう。

じん‐こん‐け【神今食】

〘名〙 (「じんごんけ」とも) =じんこんじき(神今食)
俳諧・滑稽雑談(1713)六月「是は六月・十二月侍れど、始を以て正とし、夏に用ゆ。又しんこんけともいへり」

じん‐こ‐じき【神今食】

〘名〙 (「じんごじき」とも) 「じんこんじき(神今食)」の変化した語。《季・夏/冬》
※俳諧・増山の井(1663)六月「神今食(ジンゴジキ)〈略〉これも年に二度也」

かみあげ【神今食】

〘名〙 宮中儀式の一つ。中古、六月と一二月の一一日の夜、宮中の神嘉殿において、天照大神をまつり、新しい火で炊いた御飯を供え、天皇自身も食する。新嘗祭とほぼ同じだが、この祭りでは旧米を用いる。かんいまけ。じんこんじき。〔観智院本名義抄(1241)〕

かむ‐いまけ【神今食】

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改訂新版 世界大百科事典 「神今食」の意味・わかりやすい解説

神今食 (じんこんじき)

〈じんごじき〉〈かむいまけ〉ともいう。上代より中世まで,毎年6月11日,12月11日の月次(つきなみ)祭班幣の夜,宮中神嘉殿において,天皇がみずから皇祖天照大神に神饌を供し,みずからも食する祭り。祭儀は新嘗祭(にいなめさい)と同様だが,神饌の数量は新嘗祭より少なく,後儀の豊明節会(とよのあかりのせちえ)はなかった。この祭りは祈年祭,新嘗祭,相嘗祭などとともに,稲作文化の祭りといえる。新嘗祭,相嘗祭は新穀による神饌を供するのに対して,神今食は新穀ではなく旧穀を用い,また1年12ヵ月を2期に分けて行われたことは月次祭と同様の意がうかがわれる。神宮の月次祭を神今食と称した記録もある。字義は一般に今磨(いますり)の御食(みけ)といわれるが,忌食(いみけ)とする説もある。起源は《公事根源》に霊亀2年(716)6月より始まるとあるが,より以前とする説もある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神今食」の意味・わかりやすい解説

神今食
じんこんじき

古代の宮中神事の一つ。「じんごじき」「むかいまけ」ともいう。6月 11日,12月 11日の月次 (つきなみ) 祭の夜,宮中の神嘉殿にアマテラスオオミカミを祀り,天皇みずから火を改めて新たに炊いた飯を供え,みずからも食する祭儀。

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世界大百科事典(旧版)内の神今食の言及

【神今食】より

…この祭りは祈年祭,新嘗祭,相嘗祭などとともに,稲作文化の祭りといえる。新嘗祭,相嘗祭は新穀による神饌を供するのに対して,神今食は新穀ではなく旧穀を用い,また1年12ヵ月を2期に分けて行われたことは月次祭と同様の意がうかがわれる。神宮の月次祭を神今食と称した記録もある。…

【神今食】より

…この祭りは祈年祭,新嘗祭,相嘗祭などとともに,稲作文化の祭りといえる。新嘗祭,相嘗祭は新穀による神饌を供するのに対して,神今食は新穀ではなく旧穀を用い,また1年12ヵ月を2期に分けて行われたことは月次祭と同様の意がうかがわれる。神宮の月次祭を神今食と称した記録もある。…

※「神今食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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