祝歌(読み)いわいうた

精選版 日本国語大辞典 「祝歌」の意味・読み・例文・類語

いわい‐うた いはひ‥【祝歌】

[1] 〘名〙
① 祝いの意を表わす歌。和歌六義(りくぎ)の一つ。御代をことほぎ、人の長寿祝福する歌。頌歌
古今(905‐914)仮名序「むつには、いはひうた、『このとのはむべもとみけりさきぐさのみつばよつばにとのづくりせり』といへるなるべし」
民謡の中で、祝儀の席、酒宴の席などでうたわれるめでたいもの。
[2] 箏曲。山田流。二世山登検校と初代中能島松声との共同作曲。明治七年(一八七四初演浄瑠璃と琴歌との掛合物。天下泰平の世を花づくしにことよせてうたう。

しゅっ‐か シュク‥【祝歌】

〘名〙 祝いの歌。また、祝いの歌をうたうこと。
※西洋聞見録(1869‐71)〈村田文夫〉前「小民巷街に雲集し雀躍祝歌す」

しゅく‐か【祝歌】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「祝歌」の意味・読み・例文・類語

いわい‐うた〔いはひ‐〕【祝(い)歌/×頌】

民謡分類の一。祝いの式や宴席などでうたう歌。祝儀歌
和歌六義りくぎの一。祝いことほぐ歌。頌歌しょうか
六つには―」〈古今・仮名序〉

ほき‐うた【祝歌/寿歌】

後世は「ほぎうた」》祝ってうたう歌。
「此は―の片歌なり」〈・下〉

しゅく‐か【祝歌】

祝いの歌。「祝歌を奏する」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「祝歌」の意味・わかりやすい解説

祝歌(唄) (いわいうた)

祝福の気持ちをこめてうたう歌で,日本の民謡の中に大きな部分を占めている。祝儀歌(唄)ともいう。うたわれる機会は,正月,作業始め,作業納め,収穫祝い,婚礼,新築祝いなどである。日本には昔から,かくあれかしと望むことをことばにして発唱すると,そのことばに内在する言霊(ことだま)の力でことばどおりの結果が実現するという信仰があり,それが祝歌のうたわれる根本にある。祝福の歌詞には類型があり,ほとんど全国的に共通している。最も普遍的なものは〈めでためでたの〉などであるが,家ぼめの〈ここのおうちはめでたいおうち〉とか,豊年予祝の〈ことし豊年〉,長寿祝いの〈お前百まで〉などは全国どの土地の祝歌にも見られる。宮城県の《さんさ時雨》や関東の《これさま》など各地にそれぞれ代表的な祝歌がある。万歳(まんざい),春駒大黒舞などという祝歌を職業としてうたい歩く芸人も昔からおり,祝言のことばをもって各戸を祝福に訪れている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の祝歌の言及

【地搗歌】より

…土搗歌(どつきうた),胴突歌ともいう。労作歌祝歌(いわいうた)の一種で,家の建築の際などに土台を固めるための地搗き作業に歌われる。地搗き作業は地盤を固める目的のほかに,強力な霊力を土中に搗き込める信仰的な色彩があり,それは地搗きの動作や歌詞の中に残っている。…

【民謡】より

…(6)道歌 馬子歌,牛方歌,木遣(きやり)歌(木遣り),道中歌など。(7)祝(いわい)歌 座敷歌,嫁入歌,酒盛歌,物吉歌など。(8)祭歌 宮入歌,神迎歌,神送歌など。…

※「祝歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android