祖父・翁(読み)おおじ

精選版 日本国語大辞典 「祖父・翁」の意味・読み・例文・類語

おお‐じ おほぢ【祖父・翁】

〘名〙 (「ぢ」は、男性に対する敬称「ち」の変化した語)
父母の父。祖父。おおてて。⇔祖母(おおば)。〔令集解(738)〕
源氏(1001‐14頃)桐壺「この君さへかくおはしそひぬれば春宮の御おほちにてつひに世中をしり給べき右のおとどの御いきほひは」
② 年とった男性。老翁。じじい。江戸時代の村落にあっては六〇歳以上の老人をいい、夫役を免除された。
※御伽草子・一寸法師(室町末)「中ごろのことなるに、津の国難波の里に、おほぢとうばと侍(はんべ)り」
※浮世草子・元祿大平記(1702)二「老屈かがまれる姥(うば)おうぢ、はるかのあとに引さがり〈略〉おうぢがうばにいふやうは」
狂言に用いる老人の面。「財宝」「老武者」「枕物狂」などに用いる。
※虎寛本狂言・腰祈(室町末‐近世初)「シテ。祖父の面」
[語誌](1)語源に関しては「おほちち(大父)」の約とする説もあるが、祖父を父と区別するために、世代・兄弟姉妹間の上位者を表わす「おほ」を「ち」に冠したものと思われる。
(2)「おほば(祖母)」が、「おば」「うば」となって、勢力を弱めたのとは異なり、「おほぢ」は、院政期ごろまでに「おぢ」を派生したものの、江戸期に「ぢぢ」やその派生語にとって替わられるまで、祖父を表わす代表語であった。→「おおば(祖母)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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