祇王祇女(読み)ぎおうぎじょ

改訂新版 世界大百科事典 「祇王祇女」の意味・わかりやすい解説

祇王・祇女 (ぎおうぎじょ)

平家物語》巻一〈祇王〉に登場する白拍子の姉妹。姉の祇王が清盛に愛され,母娘3人で裕福にくらしていたが,加賀国の白拍子,仏御前が現れて清盛を魅了する。祇王は暇を出され,また仏御前を慰めるため清盛の邸に呼び出されることがあり,自害を思い立つが母に制止されて出家する。母娘3人で嵯峨山奥人目をしのんで暮らしていたが,ある夜,仏御前が庵を訪ねて出家の志を述べ,それにより祇王の宿意もとけて,以後4人いっしょに往生を願ったという。《平家物語》では,清盛の専横を語るエピソードになっているが,諸本の間で〈祇王〉の位置には揺れがあり,また本巻から除く伝本もあるなど,本来は,《平家物語》とは別個に,独立して成長した説話であろう。おそらく念仏系の比丘尼の語り物だったと思われるが,各地にある祇王や仏御前の伝説なども,そうした伝承者の足跡と無関係ではないだろう。なお,中世小説に,《平家物語》にそのまま依拠した《祇王物語》があり,謡曲に,《祇王》《仏原(ほとけのはら)》がある。
祇王寺
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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