社会改良(読み)しゃかいかいりょう

改訂新版 世界大百科事典 「社会改良」の意味・わかりやすい解説

社会改良 (しゃかいかいりょう)

マルクス主義の場合とは異なって,資本主義社会の社会問題を部分的な修正と漸進的な方法を積み重ねることによって解決することができるし,またそうすることが望ましいと考える広義の社会主義思想およびその運動を意味する。こうした社会改良の思想と運動は,19世紀後半から20世紀初頭にかけて大きな勢いをえた。代表的なものに,たとえばイギリスフェビアン主義やE.ベルンシュタインらの社会修正主義などがある。その後の社会改良(主義)の展開は,一方では資本主義諸国における社会民主主義の浸透や社民党政権の樹立によって,他方ではニューディールケインズ政策,さらに福祉国家の登場といった要因によって促進されることになった。とりわけ第2次大戦後は,先進資本主義国における古典的マルクス主義の退潮混合経済体制と福祉国家の成熟を通じて,社会改良への動きが増幅された。そのため現在では,この社会改良ということばは,かつての斬新さと重みとを失っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「社会改良」の意味・わかりやすい解説

社会改良
しゃかいかいりょう
social reform

社会組織の全体的な変革目標とする社会変革ないし社会革命に対して,その部分的な変革を目標とするもの。この場合次のような2つの方向がある。 (1) 社会組織全体は必ずしも打破するに及ばず,根本的には既存の社会組織の支配原理を尊重し,これに順応して改革,改良を行おうとする場合,(2) 社会組織の全体的変革を認めながら,しかも方法的には一挙にこれを実現しようとせず,合法的に部分的変革を行い漸進的にその目標を達成しようとする場合。前者がいわゆる改良主義であり,後者の代表がフェビアン主義である。

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