(読み)いしずえ

精選版 日本国語大辞典 「礎」の意味・読み・例文・類語

いし‐ずえ ‥ずゑ【礎・磌・

〘名〙 (古くは「いしすえ」。「石据え」の意から)
建造物の柱、壁などの下に土台となる石をすえること。また、その石。土台石柱石。つみいし。根石(ねいし)礎石(そせき)。〔十巻本和名抄(934頃)〕
徒然草(1331頃)二五「おのづからいしずへばかり残るもあれど」
物事基礎となるもの。また、そのような人。もとい。
浄瑠璃伽羅先代萩(1785)六「そなたの命は出羽奥州五十四郡の一家中所存ほぞを堅めさす誠に国の礎(イシズヘ)ぞや」

そ【礎】

〘名〙
① 柱の下にすえる土台石。いしずえ。礎石(そせき)。基礎。もとい。つみいし。
兵範記‐仁平三年(1153)一〇月一八日「夏秋之間払四薗壇、整池山、居礎」
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉五「新たに地を敷ひて礎(ソ)を置き」 〔淮南子‐説林訓〕
② 物事の基礎。もとい。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「礎」の意味・読み・例文・類語

そ【礎】[漢字項目]

常用漢字] [音](漢) [訓]いしずえ
建物の柱をのせる土台石。「礎石基礎定礎
物事を成り立たせる根本。「国礎
[名のり]き

いし‐ずえ〔‐ずゑ〕【礎】

《「石据え」の意》
家屋や橋などの柱の下に据える土台石。根石ねいし柱石はしらいし
物事の基礎となる大切なもの。また、その人。「建国となる」「今日の繁栄を築く」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【建築儀礼】より

…古代の伊勢神宮の造営では,山口祭(やまぐちまつり)(杣山(そまやま)の入口でその神をまつる儀式),木本祭(きのもとまつり)(正殿の忌柱を切るときの祭り),鎮地祭(ちんじさい)などが行われた。古代寺院の造営でも,基礎工事では鎮壇具を地中に埋めて安全を祈り,完成のときには造立供養(ぞうりゆうくよう)が行われた。平安時代以降の建築工事では,礎(いしずえ)(礎石を据えるとき),手斧始(ちようなはじめ)(事始(ことはじめ),木作始(きづくりはじめ)とも呼び,材木加工の開始),立柱(りつちゆう)・柱立(はしらだて)(柱を立てるとき),上棟(じようとう)・棟上(むねあげ)(棟木をのせるとき)が主要な儀式で,日時をあらかじめ陰陽師が卜占し,当日は建築工匠と工事関係者が工事場に集まって儀式を行った。…

【地鎮祭】より

…中世の仏教による地鎮祭は地鎮法と呼ばれ,鎮物には五穀,五色玉などが用いられた。しかし中世の建築工事の記録を見ると,一般に手斧始(ちようなはじめ)((ちような))に先立つ建築儀礼としては,礎(いしずえ)(礎石を据え付けるときの祭事)や地引(じびき)または鋤始(すきはじめ)(整地開始の祭事)を行うものが多く,地鎮祭(土公祭(どこうまつり)とも呼ばれた)を行っている例は少ない。江戸時代の大工技術書を調べてみても,地鎮祭が建築儀礼のなかで重要な位置を占め,それに応じて儀式の形式などが整えられるのは,江戸時代後半以降と考えられる。…

※「礎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android