磐長姫(読み)イワナガヒメ

デジタル大辞泉 「磐長姫」の意味・読み・例文・類語

いわなが‐ひめ〔いはなが‐〕【磐長姫/石長比売】

日本神話にみえる女神長寿をつかさどる。大山祇神おおやまつみのかみの娘で、妹の木花開耶姫このはなのさくやびめとともに天孫瓊瓊杵尊ににぎのみことに献上されたが、容姿が醜いために返された。

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朝日日本歴史人物事典 「磐長姫」の解説

磐長姫

大山祇神(オオヤマツミノカミ)の娘とされ,『古事記』『日本書紀』の日向神話で,妹の木花開耶姫(コノハナノサクヤヒメ)とコンビを組んで登場するが,姉イワナガヒメには不幸な役割が与えられている。高天原から天降った皇孫瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)は,吾田の地(鹿児島県野間半島付近)で美しいコノハナノサクヤヒメに出会い求婚した。父の大山祇神は,人間の命が岩のように盤石であるようにと願ってイワナガヒメも添えて進呈したが,ニニギはその醜さを嫌って送り返した。これによりイワナガヒメは,人々の寿命が木の花のようにはかなく散るように呪った。この話は,古今東西変わらぬ男の好色癖を梃にして人間の命に限りがあることを説いたものだが,女の執念のすさまじさも語られている。

(西條勉)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「磐長姫」の解説

磐長姫 いわながひめ

記・紀にみえる神。
岩のように永久にかわらない女性を意味する。父の大山祇(おおやまつみの)神により妹の木花開耶(このはなさくや)姫とともに瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の妻としてさしだされたが,みにくかったためかえされた。姫はこれをのろい,以来,人間は短命になり(「日本書紀」),天皇の寿命がみじかくなった(「古事記」)という。「古事記」では石長比売。

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世界大百科事典(旧版)内の磐長姫の言及

【木花開耶姫】より

…《古事記》では木花之佐久夜毘売と記す。記紀の伝承によると,日向の高千穂の峰に天降った瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は大山祇神(おおやまつみのかみ)の2人の娘と婚することとなるが,姉の磐長姫(いわながひめ)は顔が醜いので送り返し,妹のサクヤビメとだけ床を共にする。天皇の生命が木の花のようにはかないのはこのためだという。…

※「磐長姫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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