硝酸マンガン(読み)しょうさんマンガン(英語表記)manganese nitrate

改訂新版 世界大百科事典 「硝酸マンガン」の意味・わかりやすい解説

硝酸マンガン (しょうさんマンガン)
manganese nitrate

酸化数ⅡおよびⅢのマンガンの硝酸塩が知られている。

化学式Mn(NO32・6H2O。炭酸マンガン(Ⅱ)を希硝酸に溶解して,25.8℃以下で蒸発結晶させると得られる。淡紅色結晶,単斜晶系。比重1.82(21℃),融点25.8℃。水に易溶,溶解度426g/100g(0℃)。エチルアルコールにも易溶。ほかに無水和物,1,2,4水和物などが知られている。

化学式Mn(NO33。1972年,無水のフッ化マンガン(Ⅲ)に五酸化二窒素N2O5と四酸化二窒素N2O4混合物を作用させて初めてつくられた。-14℃以下の乾燥空気中で安定。ピリジンフェナントロリン(これらの配位子をLで表す)を反応させると[Mn(NO33L]ができる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「硝酸マンガン」の意味・わかりやすい解説

硝酸マンガン
しょうさんまんがん
manganese nitrate

マンガンの硝酸塩で、酸化数Ⅱ、Ⅲのものが知られる。硝酸マンガン(Ⅱ)は金属または炭酸マンガン(Ⅱ)を硝酸に溶かした水溶液を蒸発すると、室温以下で六水和物が得られる。水、エタノール(エチルアルコール)によく溶ける。ほかに四、三、二および一水和物がある。水和物の結晶を五酸化二リンと放置すると無水和物が得られる。吸湿性で、200℃で二酸化窒素酸化マンガン(Ⅳ)に分解する。いずれも淡紅色結晶。触媒として用いられる。硝酸マンガン(Ⅲ)Mn(NO3)3無水塩は合成するのが困難であったが、無水のフッ化マンガン(Ⅲ)に五酸化二窒素と四酸化二窒素の混合物を作用させて1972年につくられた。

[守永健一・中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硝酸マンガン」の意味・わかりやすい解説

硝酸マンガン
しょうさんマンガン
manganese nitrate

硝酸マンガン (II) ,化学式 Mn(NO3)2 。6水塩は淡紅色,単斜晶系結晶。融点 26℃。水,アルコールに易溶。希土類元素分別に利用される。

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