硝子体(読み)しょうしたい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硝子体」の意味・わかりやすい解説

硝子体
しょうしたい

眼球の内容物で透光体の一部、すなわち水晶体後方から網膜前面までの腔所(くうしょ)を満たしているゲル状の組織であり、眼内容積の約3分の2を占める。胎児の硝子体の中には血管などいろいろな組織があり、眼球の発育に重要な役割を担っているが、生後はまったく透明な組織となる。発育を終わった眼球の中での硝子体の働きの一つは、外力が加わったときのショック吸収装置である。年齢とともに硝子体の構造は変化し、老人になると水分と有形成分との分離が進行する。

[松井瑞夫]


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精選版 日本国語大辞典 「硝子体」の意味・読み・例文・類語

しょうし‐たい セウシ‥【硝子体】

〘名〙 眼球内で前方の水晶体・毛様体と、後方の網膜との間の部分を満たすゲル状の組織。無色透明で水分に富み、眼球の形状維持や光を屈折する役目などをもつ。ガラス体。
※新精眼科全書(1867)一「水晶体、是れ硝子体前に位し、最極澄明無色なり」

ガラス‐たい【硝子体】

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百科事典マイペディア 「硝子体」の意味・わかりやすい解説

硝子体【しょうしたい】

ガラス体とも。眼球内で水晶体と網膜との間を満たしている物質で,透明で光の通過を妨げない。99%は水で,わずかな繊維成分を含んでゲル状を呈する。両端部ではこの繊維が肥厚し,硝子体膜という薄い丈夫な膜をなす。→
→関連項目飛蚊症網膜剥離

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硝子体」の意味・わかりやすい解説

硝子体
しょうしたい
vitreous body

ガラス体ともいう。眼球内部の大部分を占める無色透明の組織。ゼリー状の半流動体で 99%は水分である。眼球の内圧を維持し,これに一定の形を与える役割をしている。

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栄養・生化学辞典 「硝子体」の解説

硝子体

 眼球容積の約70%を占める透明,ゼリー状の組織.血管はない.水,コラーゲン,ヒアルロン酸主成分

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デジタル大辞泉 「硝子体」の意味・読み・例文・類語

しょうし‐たい〔セウシ‐〕【硝子体】

眼球の水晶体毛様体の後方から網膜の前面までを満たすゼリー様の物質。ガラス体。

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世界大百科事典 第2版 「硝子体」の意味・わかりやすい解説

しょうしたい【硝子体 vitreous body】

俗に〈ガラス体〉ともいう。眼球の中,正面からみて水晶体より奥で眼底,網膜へ達するまでの空間を満たす物質。約4cm3あり,眼球容積の3/4を占める。99%が水分(硝子体液)であり,わずかな繊維成分(硝子体繊維)がこれを保持して,ゲル状となっている。硝子体繊維は網膜や水晶体に接する部分では厚くなり,硝子体膜hyaloid membraneをなす。硝子体は,眼底まで可視光線を到達させるほか,網膜を内側からささえて眼球の形状を維持し,水晶体,網膜などの代謝産物通路ともなっている。

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世界大百科事典内の硝子体の言及

【眼底】より

…ところが対照的に赤道部,周辺部は,網膜は後極部より薄くなり,組織の変性が起こりやすいが,病変は自覚されにくい。硝子体の病的癒着も高率にみられる。赤道部変性と呼ばれる変化がその代表である。…

【目∥眼】より

…外膜は角膜と強膜,中膜は虹彩,毛様体および脈絡膜,内膜は網膜からなり,中膜全体をぶどう膜ともいう。眼球の内容の大部分は硝子体で満たされ,その前方には水晶体があり,水晶体の周囲と角膜にいたるすきまである前房は房水で満たされる。虹彩の中央には円形の穴すなわち瞳孔がある。…

※「硝子体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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