砺波(市)(読み)となみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「砺波(市)」の意味・わかりやすい解説

砺波(市)
となみ

富山県中西部にある市。礪波平野(となみへいや)の中央部に位置する田園都市。1952年(昭和27)出町(でまち)を中心に1町5村が合併して砺波町が成立、その後、南般若(みなみはんにゃ)、柳瀬、太田、東野尻、高波、栴檀山(せんだんやま)、栴檀野、般若、東般若の9村を編入して1954年市制施行。2004年(平成16)庄川町(しょうがわまち)と合併。中央を庄川が流れ、庄川扇状地の中央部と庄川東部丘陵を占める典型的な散村集落地帯であり、JR城端線(じょうはなせん)、国道156号、359号、471号が通じ、北陸自動車道の砺波インターチェンジがある。中心の出町には江戸時代加賀藩の礪波郡奉行(ぶぎょう)所や御蔵が置かれ、明治以後は郡役所、現在は県の砺波総合庁舎がある。北東部には、32キロメートルにも及ぶ灌漑(かんがい)用水芹谷野用水(せりだんのようすい)がある。庄下(しょうげ)地区一帯の水田には裏作としてチューリップ球根が栽培され特産となっている。カナダ、アメリカなどへ輸出され、花園町のチューリップ公園では4月下旬から5月上旬にチューリップフェアが開催される。工業ではタワーパートナーズセミコンダクターの半導体製品、塩谷硝子(ガラス)の医療アンプルなどがあり、伝統工業に三助焼がある。南部の庄川地区は、昭和初期に小牧ダムができるまでは飛騨からの流木の集積地であった。いまも木地(きじ)・木製品工場が多く、また繊維・電気機械工場もある。庄川には、礪波平野を潤す合口(ごうくち)ダム(舟戸ダム)がつくられ、小牧ダムとの中間地点に小牧発電所がある。庄川扇頂部の種田地区は良質の種籾(たねもみ)(庄川種籾)の産地。庄川右岸には湯谷(ゆたに)温泉、左岸には庄川温泉などがあり、庄川温泉郷を形成。庄川峡は県定公園に指定され、観光施設として水記念公園などがある。出町神明宮の祭礼には曳山(ひきやま)で子供歌舞伎(かぶき)が演じられる。常福寺(じょうふくじ)の木造阿弥陀如来(あみだにょらい)立像湛慶(たんけい)作とされる)は国指定重要文化財。ほかに、古刹(こさつ)千光寺、増山城跡などがある。面積127.03平方キロメートル、人口4万8154(2020)。

[深井三郎]

『『砺波市史』(1964・砺波市)』『『砺波市史』資料編全5巻(1990~1996・砺波市)』


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