砂
すな
sand
地質学では粒径2ミリメートル~16分の1ミリメートルの岩片をいい、2ミリメートル以上の礫(れき)、および16分の1ミリメートル以下のシルトと区別する。この砂は海底または湖底の堆積(たいせき)物として、あるいは海岸砂丘や内陸乾燥地域の砂漠の風成堆積物として、地表や露頭にみられるものである。一方、土壌学で扱う砂とは、土壌生成過程にシルト、粘土分と分かれて残った粒子であって、国際土壌学会法ではその粒径を2~0.02ミリメートルと定めている。砂はさらに2~0.2ミリメートルを粗砂、0.2~0.02ミリメートルは細砂と区分される。風化に対する抵抗性の強い石英片を主とするほか、雲母(うんも)、角閃石(かくせんせき)、輝石、磁鉄鉱、火山ガラスなどが含まれている。低倍率の双眼顕微鏡下で、結晶体の特徴から鉱物を同定して土壌母材を推定したり、摩耗度や溶食の状態から風化度を判定したりすることができる。
[浅海重夫・渡邊眞紀子]
建設に用いられる砂には河川砂、海砂などのほか、コンクリート用砕砂やコンクリート用高炉スラグ細骨材、人工軽量細骨材、パーライト砂、大理石などを粉砕した色砂(いろすな)などがある。河川砂・砕石はモルタルやコンクリートの骨材のほか、路盤材、道路や建物の建設の際の埋戻し材などに用いられる。人工軽量細骨材は軽量のモルタルやコンクリートを製造するのに用いる。パーライト砂を用いて気泡を混入すると比重1.0以下のモルタルをつくることができる。またカラーセメントに色砂を用いて色モルタルをつくり、洗い出しや研(と)ぎ出しを行って人造大理石をつくることができる。色砂と着色樹脂を用いたモルタルは高級人造石として使われている。
[笠井芳夫]
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砂
未固結の破片の堆積物で,大きさは直径が0.0625(1/16)mmから2mmの範囲の粒子からなるもの.砂は基本的に石英からなるのが一般的であるが,炭酸塩粒,岩石の破片,鉱物の残渣などからなる砂が知られている.砂は周囲の環境の変化に対応して濃集し,その特徴は環境と母岩に関係している[Wentworth : 1922, Pettijohn : 1949, Pettijohn, et al. : 1972].ウェントワースの粒度による砂の分類は次のようである.巨大砂(2~1mm),粗粒砂(1~0.50mm),中粒砂(0.50~0.25mm),細粒砂(0.25~0.125mm),微細粒砂(0.125~0.0625mm)[Wentworth : 1922].アリアン語の原形ではchsaは磨り潰すことで,ギリシャ語のpsamathosは砂の意味.
出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報
砂
すな
sand
礫とシルトの中間の大きさの岩石片や鉱物片の総称。大きさは,普通1/16~2mmのものをいう。粗度では粗粒砂,中粒砂,細粒砂に分け,鉱物組成によって,石英の多い石英砂,有色鉱物の多い黒砂,海緑石の多い緑砂などの名がつけられる。成因や堆積場所によって,山砂,川砂,海砂,砂丘砂,火山灰砂に分けられ,砂丘砂は分級良好で砂粒の円磨度が高い。コンクリート用砂としては石英砂が用いられ,粗粒砂から細粒砂まで混ったものが強いとされている。
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砂【すな】
礫(れき)よりも細かく泥よりもあらい砕屑(さいせつ)物。直径は米国式分類では1/16〜2mm,ヨーロッパ式では0.05〜2mm。大きさにより極微砂,微砂,細砂,中砂,粗砂などに細分する。堆積物としては広範に分布し,さまざまな環境で認められ,川砂,海砂,山砂などと呼ばれる。砂粒の構成物は,粒度の大きな場合は岩石片を含むが普通は鉱物片が多く,中でも石英,長石が多い。
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デジタル大辞泉
「砂」の意味・読み・例文・類語
すな【砂/▽沙】
非常に細かい石の粒。海岸や川などにみられる。地質学では粒径が2ミリ以下、16分の1ミリ以上のものをいう。いさご。すなご。まさご。
[類語]真砂・白砂・砂・砂子・黄砂・熱砂・珪砂
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砂
スナ
sand
礫(れき)より小さく,泥より大きな粒度2~1/16 mm の岩片あるいは鉱物片.一般に,石英,白雲母,長石,輝石,角せん石,黒雲母,磁鉄鉱,チタン鉄鉱からなる.石英の多いものを石英砂,有色鉱物の多いものを黒砂,海緑石の多いものを緑砂という.堆積場所によって,海砂,川砂,山砂,砂丘砂,火山砂などに区別される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
すな【砂 sand】
岩石が自然の作用により砕けて細かくなったもの,またはその集合体の総称。近年では,砕石をさらに細かく人工的に砕いた人工砂,すなわち砕砂(さいさ)の製造が盛んになってきたので,前者をとくに天然砂と呼ぶようになった。粒径に対する定義はまちまちで,一般には5~2mm以下のものと認識されているが,国際土壌学会法に基づく土壌の粒径区分では2~0.2mmのものを粗砂,0.2~0.02mmのものを細砂としている。現在,骨材等に利用されている天然砂はほとんどが天然砂利と共存しており,砂利採取の乾式または湿式ふるい分け産物として回収される。
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