石版(読み)せきばん

精選版 日本国語大辞典 「石版」の意味・読み・例文・類語

せき‐ばん【石版】

〘名〙 (「せきはん」とも) 石版石表面脂肪性の材料で図を描き、水と脂肪の反発性を利用して、油性インクで刷る印刷法。一七九八年、ドイツのゼーネフェルダー発明平版印刷の代表的なもの。広義には、石版石のかわりに金属板を用いる印刷法(金属平版)をも含む。リトグラフ。〔和蘭字彙(1855‐58)〕
明暗(1916)〈夏目漱石〉八九「石版(セキバン)で印刷されている広告用の小冊子めいたもの」
[語誌]近世後期に日本に紹介され、川原慶賀や歌川国芳らがヨーロッパ石版画を模写したことが知られている。一八六〇年にプロシア使節が石版印刷機を幕府に献上した。

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デジタル大辞泉 「石版」の意味・読み・例文・類語

せき‐ばん【石版】

《「せきはん」とも》平版印刷の一。石版石の表面に脂肪性インクで文字や絵などをかき、水と脂肪の反発性を利用して印刷する。1798年ドイツのゼーネフェルダーが発明。
[類語]凸版活版凹版平版グラビアオフセットコロタイプ

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改訂新版 世界大百科事典 「石版」の意味・わかりやすい解説

石版 (せきばん)

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世界大百科事典(旧版)内の石版の言及

【瓦版】より

…瓦版の印刷は,木版のほかヨーロッパ伝来の銅版エッチングによるものが幕末の京都で作られていた。また,もっとも簡易な方法として粘土を焼き固めて原版とすることもあったらしく,〈土版木(つちはんぎ)〉とか〈石版(いしばん)〉といわれたのもこれであろう。瓦版もこの種の印刷法からの名称であるといわれている。…

【瓦版】より

…瓦版の印刷は,木版のほかヨーロッパ伝来の銅版エッチングによるものが幕末の京都で作られていた。また,もっとも簡易な方法として粘土を焼き固めて原版とすることもあったらしく,〈土版木(つちはんぎ)〉とか〈石版(いしばん)〉といわれたのもこれであろう。瓦版もこの種の印刷法からの名称であるといわれている。…

【平版】より

…インキを画線(模様や文字の部分)にのみ付着させる手段として,水と油脂(インキ)が互いに反発する性質を利用し,非画線を水または水溶液で湿し,この水の皮膜によって油脂性の印刷インキが付着しないようにしている。 平版は1798年ドイツのA.ゼーネフェルダーによって石版石石灰岩を版材に用いた石版(リトグラフ)として発明された。石版石石灰岩がもともと多孔質で水気を含む性質があることを利用したもので,油脂性の色材で描画したのち,非画線部に硝酸を加えたアラビアゴムの溶液を吸収させる(エッチ処理)と,非画線部は水を,画線部はインキを受けつける性質となる。…

※「石版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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