石榴・柘榴(読み)ざくろ

精選版 日本国語大辞典 「石榴・柘榴」の意味・読み・例文・類語

ざく‐ろ【石榴・柘榴】

〘名〙
① ザクロ科の落葉小高木。ペルシア地方原産で、果樹として、また観賞用に広く世界各地で栽植され、日本へは平安時代に渡来し、本州以西の各地で庭木などにされる。高さ五~一〇メートル。幹にはこぶが多い。密に分枝し、若枝は四角柱状。しばしば枝はとげとなる。葉は短柄をもち、ほぼ対生、倒卵形または長楕円形で長さ約四センチメートル。六、七月、枝先に赤い筒状の萼(がく)と五~七枚の花弁をもつ花が数個咲く。果実は球状で黄橙色に熟して不規則に裂け、甘ずっぱい液に富む種皮をもつ種子を露出する。根は漢方サナダムシの駆除薬に使う。漢名、安石榴。せきりゅう。じゃくろ。《季・秋》
▼ざくろの花《季・夏》
※大安寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)二月一一日「十九口棗瓶、十一口柘榴瓶、一口洗豆瓶」
※俳諧・夜半叟句集(1783頃か)「若長か机のうへのざくろかな」
② (①の実が熟すると口を開けるところから) ばか、あほうをいう隠語。〔モダン語漫画辞典(1931)〕
[語誌](1)①の花は漢詩に詠まれ、また、「あしひきの山さくろ咲くやみねこえし鹿まつ君かは祝ひまつかも」〔古今六帖‐六〕という古歌もあるが、実を詠んだ例は古歌には見えない。
(2)①の実は、仏教では鬼子母神象徴で、その味が人の血の味に似るとされた。また、室町以降寛永頃まで、実の酢が鏡磨ぎに用いられた。

じゃく‐ろ【石榴・柘榴】

〘名〙 (「じゃく」は「石」の呉音) =ざくろ(石榴)
尺素往来(1439‐64)「林檎石榴(シャクロ)。梨」
※鮫(1963)〈真継伸彦〉二「やがて石榴(ジャクロ)のように赤く裂けてしまう者が多勢いた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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