石州和紙(読み)せきしゅうわし

事典 日本の地域ブランド・名産品 「石州和紙」の解説

石州和紙[紙工芸・和紙]
せきしゅうわし

中国地方、島根県の地域ブランド。
浜田市で製作されている。万葉歌人の柿本人麿呂が、慶雲和銅(704年〜715年)頃に、石見国紙漉きを教えたとされる。繊維が長く幅も太い強靭な地元産の楮を原料とし、ネリに同じ地元産のトロロアオイの根の粘液を使用する。竹簀や萱簀を桁にはさむ流し漉きでつくられている。弾力性・強靭性に富むと同時にやわらかさと軽さも兼ね備えているのが特徴である。また長期保存に耐えるため、美術工芸や書籍用としても重宝される。島根県ふるさと伝統工芸品。1989(平成元)年4月、通商産業大臣(現・経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

日本文化いろは事典 「石州和紙」の解説

石州和紙

産地:島根 弾力があり強靭であるにもかかわらず柔らかな肌触りと、時期がたつにつれて、黄ばんだ状態からだんだんに白くなってゆく光沢のある紙面が特徴です。製品検査が厳しく、昭和10年(1935)から品質を「稀〔まれ〕」(優良)、「鶴」(上等)、「亀」(中等)、松(下等)の等級に分けて検査が行われて きました。楮100パーセントで全く不純物の混ざっていないもの(稀)が最高級品とされ、「みざらし」と呼ばれます。

出典 シナジーマーティング(株)日本文化いろは事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「石州和紙」の解説

石州和紙

島根県浜田市三隅町、江津市桜江町で生産される和紙。原料は、コウゾ、ミツマタなど。製造の歴史は長く、奈良時代に柿本人麻呂が民衆に製法を伝えたという説もある。高品質で、書画用紙に多く用いられる。1989年、国の伝統的工芸品に指定。地元産のコウゾを用いた特に良質の和紙は「石州半紙」として知られ、その製造技術は、1969年に国の重要無形文化財、2009年にはユネスコの無形文化遺産に指定されている。

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