知恵の板(読み)チエノイタ

デジタル大辞泉 「知恵の板」の意味・読み・例文・類語

ちえ‐の‐いた〔チヱ‐〕【知恵の板】

玩具の一。四角・三角・円など、形の違う小さい板をさまざまな形に組み立てて遊ぶもの。知恵筏ちえいかだ

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精選版 日本国語大辞典 「知恵の板」の意味・読み・例文・類語

ちえ【知恵】 の 板(いた)

江戸時代子どもの玩具の一種。四角・三角・円など、いろいろな形の小さい板を並べ、さまざまな形を組み立てて遊ぶもの。知恵いかだ。知恵板。
※清少納言智恵の板(1742)序「智恵の板と名づけ、図をあらはせるひとつの巻あり」

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改訂新版 世界大百科事典 「知恵の板」の意味・わかりやすい解説

知恵の板 (ちえのいた)

正方形長方形多角形円形などの板をいく片かに分割し,これを全部使って示された形をつくる遊び。種類はきわめて多いが,その代表的なものは正方形を7片に切ったタングラムtangramである(〈数学パズル〉の項の図34参照)。タングラムはもともと中国で考え出され,〈七巧図(しちこうず)〉と呼ばれた。現存する最も古い文献は《七巧図合璧(がつぺき)》(1803)で,起原はここまでさかのぼれるが,それ以前は不詳。西洋の本に〈タングラムは4000年以上前に,中国人のタンが発明した遊び〉と書かれることが多いが,これはアメリカのパズル研究家サム・ロイドのつくった架空の話が広がったもので,信じるに足りない。七巧図は,19世紀の初めに西洋に伝えられて歓迎され,新しい形が多数つくられて,西洋の遊びとして定着していった。タングラムという名前も,そのころつけられた商品名の一つだといわれる。七巧図は日本に19世紀前半に伝来したが,それ以前から日本にもやはり正方形を7片に切った独自の知恵の板があった。その問題集《清少納言智恵板》には,寛保2年(1742)の年記がある。1878年中国でタングラムと違ったタイプの知恵の板の問題集《益智図》(全6巻)が刊行されているが,この板は正方形を15片に分割したものである。これもほどなく西洋に伝えられたが,タングラムのようには流行することはなかった。
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