しら‐に【知に】
〘
連語〙 (四段動詞「しる(知)」の
未然形「しら」に、打消の
助動詞「ず」の古い連用形「に」の付いたもの) 知らないで。知らずに。知らないので。
※
古事記(712)中・
歌謡「
水溜る
依網(よさみ)の池の
堰杙(ゐぐひ)打ちが 刺しける斯良邇
(シラニ) (ぬなは)繰り 延
(は)へけく斯良邇
(シラニ) 我が心しぞ いや愚
(をこ)にして 今ぞ悔しき」
[語誌]
用法はきわめて限定され、
助詞「と」、動詞「す」を下接する場合と、「(を)しらに」の形で原因、理由を表わす場合とがある。これらの用法は、「形容詞語幹+み」の用法と対応しており、「
万葉集」中では「すべを
無み」と「すべ知らに」「たど(づ)きをしらに」を同義的に用いている。同様の語構成、用法をもつ語に「
かてに」「
あかに」がある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報