矢来(読み)やらい

精選版 日本国語大辞典 「矢来」の意味・読み・例文・類語

やらい【矢来】

〘名〙 (「やらい(遣)」からという。「矢来」はあて字) 竹や丸太縦横に粗く組んだ、仮の囲い竹矢来角矢来などがある。やらいがき。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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デジタル大辞泉 「矢来」の意味・読み・例文・類語

やらい【矢来】

《「らい」からという。「矢来」は当て字》竹や丸太を縦横に粗く組んで作った仮の囲い。「竹矢来

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改訂新版 世界大百科事典 「矢来」の意味・わかりやすい解説

矢来 (やらい)

竹または丸太を組んで,人が通れない程度に粗く作った,臨時あるいは応急丸太矢来は丸太を掘立てとし,根元には根がらみ貫(ぬき),その上に通し貫を2本ほど水平に通して,縄で結びつけて固める。竹矢来は丸太柱を掘立てとし,横に竹を通して,縦に矢来子(やらいこ)の竹を縄で結びつける。矢来子を交互に斜めにたてるのが菱矢来,縦横に通すのが角矢来である。《洛中洛外図》などには,室町時代末期から江戸時代初期にかけて,京都四条河原でさまざまな踊り,歌舞伎などが演じられたようすが描かれるが,これらの舞台は竹矢来に筵(むしろ)や幔幕(まんまく)をひきめぐらして作っている。江戸においても,人々の集まる広場としての役割を果たしていた両国広小路,江戸橋広小路などでは,火除地(ひよけち)であるため恒久的な施設は作れなかったが,交通規制のための矢来が作られ,また許可を得て各種見世物や芝居,相撲などの興行を行う場合は,まず矢来で囲って場所を作り,簡単な小屋掛けをして葭簀(よしず)を張るなどして舞台をしつらえた。
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百科事典マイペディア 「矢来」の意味・わかりやすい解説

矢来【やらい】

竹や丸太をあらく交差させて組んだ仮囲いの柵。応急あるいは臨時の柵であるが,垣や塀に使用される場合もある。竹矢来は約2mごとに立てた丸太の柱に縦横または斜めに竹を組み縄や針金でくくったもの。
→関連項目虎落笛

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「矢来」の意味・わかりやすい解説

矢来
やらい
palisade

竹や丸太で造った仮囲い。竹矢来は,長さ2~3mの竹を斜めに組合せ,交差部をしゅろ縄などで結ぶ。竹を縦横に直交して組んだものを角矢来という。丸太矢来は丸太柵ともいい,切丸太を約 30m間隔で掘立柱とし,この上部下部を貫 (ぬき) でつなぐ。

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