眠れる美女

デジタル大辞泉プラス 「眠れる美女」の解説

眠れる美女〔川端康成〕

川端康成中編小説、および同作を表題作とする小説集。作品は1960年~61年にかけて、雑誌「新潮」に断続的に連載。作品集は1961年刊行で、ほかに短編「散りぬるを」「片腕」を収録。第16回毎日出版文化賞受賞。
②1968年公開の日本映画。①を原作とする。監督:吉村公三郎脚色:新藤兼人。出演:田村高廣、山岡久乃、八木昌子、香山美子、中原早苗、大出俊ほか。第23回毎日映画コンクール女優助演賞(山岡久乃)受賞。
③1995年公開の日本映画。①を原作とする。監督:横山博人、脚本石堂淑朗。出演:原田芳雄、大西結花、吉行和子、原田善之、鰐淵晴子観世栄夫、長門裕之ほか。第50回毎日映画コンクール女優助演賞(鰐淵晴子)受賞。

眠れる美女〔小説:ロス・マクドナルド〕

米国の作家ロス・マクドナルドの長編小説(1973)。原題《Sleeping Beaty》。「リュウ・アーチャー」シリーズ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「眠れる美女」の意味・わかりやすい解説

眠れる美女
ねむれるびじょ

川端康成(やすなり)晩年の中編小説。1960~61年(昭和35~36)『新潮』に断続連載。61年新潮社刊。毎日出版文化賞受賞。男の能力を失った老人のために、美しい処女を眠り薬で眠らせておくという妖(あや)しげな娼家(しょうか)がある。そこを五夜にわたって江口老人が訪れる。娘の肢体に触れ、邪悪な空想にとらわれることがあっても、結局は娘たちを通して、昔の恋人や母を思い、娘たちを慈しみ、祈る心に高まっていく。背景に能『江口(えぐち)』があり、同系の作品に超現実的手法の『片腕』(1963~64)がある。

[羽鳥徹哉]

『『眠れる美女』(新潮文庫)』

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