眠れる森の美女(読み)ネムレルモリノビジョ

デジタル大辞泉 「眠れる森の美女」の意味・読み・例文・類語

ねむれるもりのびじょ〔ねむれるもりのビヂヨ〕【眠れる森の美女】

ヨーロッパ各地の民話。美しい王女が、悪い魔法使いにのろいをかけられて100年の眠りにつく。ペローグリム兄弟の童話集などに収録。眠り姫。いばら姫
原題、〈ロシアSpyashchaya krasavitsaチャイコフスキー作曲のバレエ音楽。3幕。台本はペローの童話に基づく。1890年ペテルブルグで初演

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百科事典マイペディア 「眠れる森の美女」の意味・わかりやすい解説

眠れる森の美女【ねむれるもりのびじょ】

ペローの童話集の中の一編で《眠り姫》とも。誕生祝に招かなかった仙女の呪(のろい)のため,美しい王女は錘(つむ)で指を刺して100年の眠りにつき,城中一同も眠るが,やがてある王子が城に達し,王女にキスすると,すべてが目ざめる。同様の話はグリム童話の《いばら姫》などのようにヨーロッパ各地にみられる。チャイコフスキー作曲のバレエ音楽(1890年初演)でも有名。
→関連項目スペシフツェワチェケッティドーリンニジンスカヌレーエフバレエフォンテインプティパマリインスキー劇場

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改訂新版 世界大百科事典 「眠れる森の美女」の意味・わかりやすい解説

眠れる森の美女 (ねむれるもりのびじょ)
Spyashchaya krasavitsa

チャイコフスキー作曲による3幕のバレエ。M.ペチパが,シャルル・ペローの昔話を台本化し,振り付けた。1890年1月ペテルブルグのマリインスキー劇場で初演。王女(オーロラ)の命名式に招かれなかった悪の精カラボスが王女成長後の死を暗示する。善の精リラは100年の眠りの後,姫は目覚めると予言する。オーロラ姫は,16歳の誕生祝いに4人の王子との踊りの後,変装したカラボスが渡した紡ぎ針を手に刺し眠りに入る。100年後リラの精の導きで王子が現れ,接吻により姫は目を覚ます。王子との華やかな結婚式となり,〈青い鳥〉など童話の主人公たちの踊りがあり,姫と王子のグラン・パ・ド・ドゥで終わる。ペチパの傑作というだけでなく,19世紀後半のバレエ・ロマンティックの代表作といわれる。1922年バレエ・リュッスが《オーロラの結婚》を上演後,単独でもこの幕が行われている。日本では52年小牧バレエ団が全幕初演した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「眠れる森の美女」の意味・わかりやすい解説

眠れる森の美女
ねむれるもりのびじょ
Slyashaya krasavitsa; The Sleeping Beauty

序章と3幕4場からなるバレエ。シャルル・ペローによる童話をもとに,マリウスプティパイワン・フセボロジスキーが台本を書いた。音楽ピョートル・チャイコフスキー。振り付けプティパ。装置フセボロジスキー。 1890年サンクトペテルブルグで初演。多数の踊り手と仕掛け装置を駆使した豪華なスペクタクル・バレエで,プティパの最高傑作の一つ。 1921年ブロニスラワ・ニジンスカの改訂版がバレエ・リュスにより上演され,これも好評を得たが,制作費がかかりすぎたためレパートリーとはならなかった。以来上演の難しい作品といわれながらも,1939年ニコライ・セルゲーエフによりサドラーズ・ウェルズ・バレエ団でプティパ版が復活上演されるなど,今日にいたるまでさまざまな振り付けで繰り返し上演されている。日本での全幕初演は 1952年小牧バレエ団による。

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デジタル大辞泉プラス 「眠れる森の美女」の解説

眠れる森の美女

①ロシアの作曲家ピョートル・チャイコフスキーのバレエ音楽(1890)。『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』とともにチャイコフスキーの三大バレエと呼ばれる。シャルル・ペローの同名の童話を元に作曲された。
②フランス出身の舞踊家・振付家マリウス・プティパによる全3幕のバレエ(1890)。原題《La belle au bois dormant》。サンクト・ペテルブルクのマリインスキー劇場で初演。①を音楽に使用。ほかに、コンスタンチン・セルゲーエフによる振付の版が知られる。

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世界大百科事典(旧版)内の眠れる森の美女の言及

【バレエ音楽】より

…しかし,舞踊の因襲的な技法が自由な音楽表現の束縛となり,一級の作曲家たちはバレエ音楽に創作意欲を示さなかった。パリにおけるドリーブの《コッペリア》(1870)と《シルビア》(1876),モスクワにおけるチャイコフスキーの《白鳥の湖》(1876),ペテルブルグにおける同じ作曲家の《眠れる森の美女》(1890)と《くるみ割り人形》(1892)の成功は,この通念を打開し20世紀のバレエ音楽への道を開いた。 1910年代から20年代にかけて,ディアギレフの主宰する〈バレエ・リュッス〉のために,現代音楽の新しいイズムをもったバレエ音楽が相次いで創造される。…

【ペチパ】より

…独舞と群舞の有機的なつながり,踊りとマイムの交替による劇的展開など,さまざまな新手法を打ちだし,欧州屈指のバレエ団をつくりあげた。彼の作品は《ドン・キホーテ》(1869),《バヤデルカBayaderka》(1877)をはじめ自作だけでも60編を超すが,その作舞法は年とともに深味をまし豊かになり,とくに晩年にはチャイコフスキー,グラズノフの協力のもとに交響楽的バレエ《眠れる森の美女》(1890,曲チャイコフスキー),《白鳥の湖》(1895,イワノフと分担,曲チャイコフスキー),《ライモンダ》(1898,曲グラズノフ)など,近代バレエの頂点をなす不朽の名作をつくりあげた。また《ジゼル》《海賊》《エスメラルダ》など,先人の作品の改訂増補にいどみ,精彩さを加えた傑作として後代に伝えた。…

※「眠れる森の美女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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