真空管の三定数(読み)しんくうかんのさんていすう(英語表記)three constants of a vacuum tube

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「真空管の三定数」の意味・わかりやすい解説

真空管の三定数
しんくうかんのさんていすう
three constants of a vacuum tube

普通,真空管 (三極管の場合) は陰極に対して,制御格子を負電位に,陽極を正電位に保って使用される。このとき,陽極に流れる電流 ip は陽極電圧 vp および制御格子電圧 vg によって変化する。制御格子電圧 vg を一定に保ち,陽極電圧を Δvp だけ高くしたとき,増加する陽極電流Δip とおくと,その比 rpΔvp/Δip は,真空管の陽極・陰極間を一つの抵抗とみなしたときのその値を表わしている。したがって,rp を陽極抵抗と呼ぶ。陽極電圧を低くする ( Δvp が負) 場合は,陽極電流も減少する ( Δip が負となる) ので,rp は正値をとる。次に,陽極電圧を一定に保っておいて制御格子の電位を Δvg だけ上昇させるとき,増加する陽極電流 Δip の割合 gmΔip/Δvg は,コンダクタンスの次元をもっているので相互コンダクタンスと呼ぶ。最後に,制御格子電位を Δvg だけ上げたとき,陽極電流が増加せず一定になるように陽極電圧を Δvp だけ下げる場合を考える。たとえば,陽極に非常に高い抵抗を通して陽極直流電圧を供給するような場合これにあたる。そのとき,両電圧の比 μ=-Δvp/Δvg を電圧増幅率と呼ぶ。これら rpgm ,μを真空管の三定数という。理論解析によると,この三定数の間には μ=rpgm関係がある。 gm および rp が大きいほど,電圧増幅率μは大きくなる。電界効果トランジスタについても同様な関係が成立する。

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