日本大百科全書(ニッポニカ) 「県(けん)」の意味・わかりやすい解説
県(けん)
けん
地方自治法(昭和22年法律第67号)において、市町村を包括する広域の地方公共団体として都道府県が定められており(2条5項)、県はその一つである。府とは名称が異なるにとどまる。道とは組織に関して若干異なる(警察法51条)。都は1943年(昭和18)の東京府と東京市の統合により設けられたという経緯があり、組織・事務・財政などに関して違いも多い(地方自治法281条~283条、地方税法734条~737条、739条)。
市町村と二層的に置かれるが、いずれも完全な自治体であり、上下関係にあるわけではない。市町村と競合しないように、広域事務、連絡調整事務、補完事務を担当するが、補完事務は規模・能力に応じて市町村が担当することができる。なお、戦前の府県制のもとでは、議会が設けられていたなど自治体たる性格と、官選知事のもとで国の事務を担当していたことなど国の出先機関たる性格があった。現行の制度を廃止して国の総合的な出先機関たる性格を併有する道州を設けることが憲法上許されるか、議論がある。
[荒木 修 2022年2月18日]
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