眉村卓(読み)マユムラタク

デジタル大辞泉 「眉村卓」の意味・読み・例文・類語

まゆむら‐たく【眉村卓】

[1934~2019]SF作家。大阪の生まれ。本名、村上卓児。未来管理社会における組織個人葛藤を多く描く。「消滅の光輪」で泉鏡花文学賞受賞。他に「ねらわれた学園」「夕焼けの回転木馬」「時空ときの旅人」「引き潮のとき」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「眉村卓」の意味・わかりやすい解説

眉村卓
まゆむらたく
(1934―2019)

SF作家。大阪市生まれ。本名村上卓児。大阪大学経済学部卒業後、会社勤めのかたわら創作を始め、1961年(昭和36)中編『下級アイデアマン』が第1回日本SFコンテスト佳作入選。1963年に処女長編『燃える傾斜』を発表。以後、『幻影構成』(1966)、『EXPO'87』(1968)、『司政官』(1974)、福島正実(まさみ)(1929―1976)との共著『飢餓列島』(1974)、『ねらわれた学園』(1976)、『消滅光輪』(1979。泉鏡花文学賞)、『とらえられたスクールバス』前中後編(1981~1983。『時空(とき)の旅人』と改題)など、長短多数の作品によって作家生活に入る。未来の管理社会と人間性を対比して社会批判と人間ドラマを描いた作品が多く、地球連邦から植民惑星に派遣された司政官が全住民の撤退作戦を行う『消滅の光輪』はその代表作。『ねらわれた学園』は、1981年大林宣彦(のぶひこ)(1938―2020)監督で映画化、『とらえられたスクールバス』は『時空の旅人』として1986年アニメ映画化された。その後の作品に、『夕焼け回転木馬』(1986。日本文芸大賞特別賞)、『不定期エスパー』1~8(1988~1992)、司政官シリーズの集大成ともいうべき『引き潮のとき』1~5(1988~1995。星雲賞日本長編部門)などがある。2001年(平成13)大阪芸術賞受賞。

厚木 淳]

『『引き潮のとき』1~5(1988~1995・早川書房)』『『日がわり一話』第1~2集(1998・出版芸術社)』『『燃える傾斜』『ねらわれた学園』『幻影の構成』『EXPO'87』『とらえられたスクールバス』前中後『夕焼けの回転木馬』(角川文庫)』『『司政官』『消滅の光輪』全3冊(ハヤカワ文庫)』『『不定期エスパー』1~8(徳間文庫)』『眉村卓・福島正実著『飢餓列島』(角川文庫)』

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百科事典マイペディア 「眉村卓」の意味・わかりやすい解説

眉村卓【まゆむらたく】

小説家。本名村上卓児。大阪府生れ。阪大経済学部卒。会社員コピーライターを経て,SF《下級アイデアマン》(1961年)で認められ作家生活に入る。泉鏡花賞を受賞した《消滅の光輪》(1979年)など,近未来社会を扱った作品の他,《なぞの転校生》《ねらわれた学園》など年少者向けの作品も多い。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「眉村卓」の解説

眉村卓 まゆむら-たく

1934- 昭和後期-平成時代のSF作家。
昭和9年10月20日生まれ。コピーライターなどをへて作家生活にはいる。昭和54年「消滅の光輪」で泉鏡花文学賞。未来社会における組織と個人の関係をえがく作品がおおく,ほかに「不定期エスパー」「引き潮のとき」「カルタゴの運命」など。平成4年大阪芸大教授。大阪出身。阪大卒。本名は村上卓児。

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