日本大百科全書(ニッポニカ) 「相(物理)」の意味・わかりやすい解説
相(物理)
そう
phase
ある一つの系のどの部分をとっても物理的・化学的に同じ性質を示すとき、その系は一つの相をなすという。たとえば空気は窒素、酸素そのほかの気体の混合物であるが、混合は完全で均一であるから一つの相をなしている。この場合は気体の相なので気相という。また、食塩水は食塩が水に溶け込んだものであるが、やはり均一であるから一つの相をなし、液体の相なので液相という。さらに水の結晶である氷も一つの相をなし、固体の相なので固相という。
相はまた均一系と不均一系に分けられる。すなわち、一つの相からなる系を均一系、二つ以上の相からなる系を不均一系という。たとえば、食塩水は均一系であるが、水と油はよくかき混ぜて放置すると二つの層に分かれ、油をわずかに溶かした水と、水をわずかに溶かした油との二つの相からなる不均一系となる。不均一系はどのような相の共存でもよく、気相と液相、液相と固相、あるいはそれらのすべてを共存する場合などがある。たとえば水と水蒸気、水と氷などが共存するときには不均一系である。
[戸田源治郎]
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