直示天秤(読み)チョクシテンビン

デジタル大辞泉 「直示天秤」の意味・読み・例文・類語

ちょくし‐てんびん【直示天×秤】

化学天秤以上の精度で、目方が直接数字で示される天秤

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「直示天秤」の意味・わかりやすい解説

直示天秤 (ちょくじてんびん)
direct reading balance

物体の精密な質量測定が迅速にでき,その結果が直接に表示できるてんびんで,2本刃型と3本刃型とがある。2本刃型直示てんびんは単に直示てんびんと呼ばれ,使用されているてんびんのほとんどがこれに属する。図は直示てんびんの構造を示す。てこの重点に皿と秤量に相当する内蔵分銅計量法規の規制外の分銅で質量が正しく調整してある)とをつるし,力点側にてこの振動を急速に停止させるダンパー(ピストンとシリンダーからなる)のピストン,つり合い読取用目盛ガラス板とてこのつり合せ用カウンターウェイトとが固定されている。支点,重点はルビーやサファイア製の刃と刃受けからなり,内蔵分銅は加除ノブで重点に加除でき,加除量は連動する数字車で表示される。感度は一定で,てこの傾きは目盛ガラス板を光学装置で拡大したスクリーン上の目盛像で読み取る。皿が空のとき零目盛を指し,目盛と質量の対応が正しければ,物体の質量はつり合せで除去した内蔵分銅と投影目盛との表示値の和から直読できる。零目盛の調整は水平器でてんびんを水平にした後,零点調節ねじで,目盛と質量の対応は重心調節ねじで行う。2本刃型のものは感度が不変なため定感量型直示てんびんともいう。上皿直示てんびんは直示てんびんの皿をロバーバル機構を用いて,てこの上部に配置し,かさ物の計量に適するようにしたものである。支点,重点は超硬合金製の刃とV型刃受けからなり,ダンパーには強力なマグネット式のものを用いる。測定方法などは直示てんびんに類似する。直示てんびんの秤量は5g~100kg,上皿式では50g~30kg,感量は,直示てんびんで秤量の1/104~1/106,上皿式では1/103~1/105程度。内蔵分銅に代え電磁力やロードセルを用いたものは電子てんびん電子ばかりと呼ばれ,ボタンを押すだけで自動的に測定でき,データの記録・処理および遠隔測定に適する。質量測定が自動的にできる自動てんびんの多くはこの形式による。3本刃型直示てんびんは手動てんびんに分銅の加除機構,ダンパー,光学的読取装置などを付加したもので,精度は直示てんびんと同じだが,一般に感度は荷重により変化し,てこの変位を質量目盛で表すのが困難なため,特殊な用途以外には使用されない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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