出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
福岡県北部の市。1931年市制。人口5万7686(2010)。遠賀(おんが)川中流に彦山川,犬鳴(いぬなき)川が合する交通の要地で,古第三紀層の低い丘陵が広く分布する。JR筑豊本線から平成筑豊鉄道伊田線を分岐し,筑豊電鉄の終点でもある。1623年(元和9)福岡藩の支藩として東蓮寺藩4万石(のち直方藩5万石)がおかれて城下町が発達し,74年(延宝2)直方と改称。1720年(享保5)藩主の本家相続で廃藩となったが,その後遠賀川水運の物資集散地としてにぎわいを取り戻した。1890年代の筑豊興業鉄道(現,筑豊本線),伊田線開通後は筑豊炭の輸送基地となり,また炭鉱機器製造の鉄工業や卸小売業が発達し,筑豊炭田の中心都市となった。しかし石炭合理化政策の影響を受け,市内17炭鉱は1966年までにすべて閉山し,鉄工業も一般向けの製品生産に転換,人口も減少した。近年は産炭地域振興のため造成した中泉・明神池両工業団地を中心に電気機器,金属,機械その他約60企業が立地して内陸工業地域に変貌し,また北九州市への通勤圏として住宅地化も進み,70年代から80年代にかけて人口も増加した。北九州国定公園に含まれる景勝の福智山(901m),1046年(永承1)に築かれた山城の鷹取(たかとり)城跡,尺岳の竜王峡などがあり,石炭記念館や鷹取山山麓の永満寺,および頓野内ヶ磯の高取焼窯跡がある。直方駅裏の多賀神社の祭礼には,江戸初期に大坂から伝わった《思案橋》をもとにしたという手踊の日若踊が奉納される。
執筆者:土井 仙吉
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