精選版 日本国語大辞典 「盆」の意味・読み・例文・類語
ぼん【盆】
ぼん【盆】
ぼに【盆】
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器物類や小物を置いたり持ち運ぶために使用する道具の一つ。現在一般には形状や素材に関係なく,平底(ひらぞこ)で周縁に低い立上り(縁)をめぐらしたものをいう。〈盆〉の呼称がいつごろから用いられるようになったかは詳らかでないが,東大寺の修二会(しゆにえ)(お水取り)に際し,参籠の僧侶たちが食堂での食事作法に使用する円形漆塗りの食器盆は,裏面に〈二月堂練行衆盤廿六枚内 永仁六年十月 日漆工蓮□〉の銘を記しており,現在の盆と機能的にも形状的にも共通する類のものを,当時は〈盤〉と称していたことがわかる。この盤の名は《和名抄》の〈瓦器類〉では〈さら〉と訓じているが,奈良時代の正倉院文書の中にも〈木佐良〉〈木盤〉〈陶佐良〉などの記載が散見され,それが奈良時代以来の訓みであったことを明らかにしている。ただ正倉院南倉に蔵される二彩の大平鉢は銘文に〈戒堂院聖僧供養盤〉とあり,また金銀華盤(けばん)と称する花足つきの花形容器にも〈東大寺花盤重大六斤八両〉の刻銘のあることを勘案すれば,平底の器物を盤と称したとしても,その形状はかなり多様であったと思われる。この盤の呼称は先述した永仁6年(1298)の〈東大寺練行衆盤〉以降も,奈良法華寺の羅漢供所用具として徳治3年(1308)に調進された長方形角丸盆や,至徳1年(1384)の年紀をとどめ俗に安居屋盆(あごやぼん)と称される形式の方形入角(いりずみ)の供物盆にも,銘文中に盤の名が用いられているから,鎌倉時代を通じてなお盤がいまいうところの盆の呼称だったことを示唆している。盆名を記した遺品としては,現在までのところ西大寺に伝わる享徳4年(1455)銘の〈天目盆〉が古い。これは縁を花形にかたどったいわゆる輪花盆(皿)に丈の高い高台をとりつけたもので,通常高盤(こうばん)と称されるものに該当するが,天目台や茶筅(ちやせん),茶碗などをのせて使用するところからこの名が用いられたのであろう。現在の盆とは趣を異にするが,盤が多様な形式を包括しているのと同様,盆も当時は形式的にかなり多様性を帯びていたものと考えられる。以後,盆名を記した事例は,俗に〈根来(ねごろ)〉と称される室町時代の朱漆塗り皿状容器の銘文中にも散見されるようになるので,盤にかわって盆の名称が一般化するのも室町時代中期ころからであろうと想定される。
盆には用途によって給仕盆,茶盆,菓子盆,たばこ盆,証書盆などの種類がある。材質は古くは漆器が多かったが,現在では木材,金属,陶器,プラスチックなどが用いられ,それに彫刻,象嵌(ぞうがん),蒔絵(まきえ)などの加飾を施したものが多い。給仕盆のなかでも〈長手盆〉は持ち運びやすいように持ち手がつけられ,また収納,整理に便利なように組重ね式,入れ子式のものもある。茶盆,菓子盆,たばこ盆は実用性と趣味性をあわせもつので,形も変化に富み,産地の特色を生かした加飾がおこなわれる。証書盆や名刺受け盆は形も小さく縁も浅く,唐木(からき),埋木(うもれぎ),漆器などが多い。盆は会津,輪島,山中,高松など主要な漆器産地ではどこでも作られている。
執筆者:河田 貞
→盂蘭盆会(うらぼんえ)
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