皆無(読み)かいむ

精選版 日本国語大辞典 「皆無」の意味・読み・例文・類語

かい‐む【皆無】

[1] 〘名〙 (形動)
① なにもないこと。ひとつもないこと。また、そのようなさま。〔和英語林集成初版)(1867)〕
小公子(1890‐92)〈若松賤子訳〉前編「慈善らしき業(わざ)も、深切めいた思ひ遣りも、皆無(カイム)の長い生涯でした」
② 特に、金が全然ないこと。また、そのさま。一文なし。
洒落本・通人の寐言(1782)上「いそうろうのうちに、口源といふ皆無な、口斗(ばかり)なる通人」
③ 江戸時代、作物の出来具合を示す呼び方。作物の収穫が全くないこと。特に、田の場合、一坪に二合以下の収穫のこと。〔地方凡例録(1794)〕
[2] 〘副〙
① 残らず。ことごとく。
※洒落本・遊子方言(1770)発端「其内に皆無(カイム)銭がなくなったによって」
② (下に打消の語を伴って) 全く。さっぱり。〔和英語林集成(再版)(1872)〕
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「手紙は何を読んだのか皆無判らない」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「皆無」の意味・読み・例文・類語

かい‐む【皆無】

[名・形動]全く存在しないこと。全然ないこと。また、そのさま。「欠席者は皆無である」
[副]
残らず。ことごとく。
「―損をしても宜しい」〈福沢福翁自伝
(下に打消しの語を伴って)全く。さっぱり。
「余は書に於いては―鑑識のない男だが」〈漱石草枕
[類語]絶無ゼロ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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