百姓代(読み)ひゃくしょうだい

精選版 日本国語大辞典 「百姓代」の意味・読み・例文・類語

ひゃくしょう‐だい ヒャクシャウ‥【百姓代】

〘名〙 村方三役一つ。名主、組頭とともに、江戸時代郡代代官支配下で名主以下村内のすべての職務を監督し、また事あるときは村民を代表する立場にあったもの。村内の大高持の内より選挙によって決定される。〔地方凡例録(1794)〕

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デジタル大辞泉 「百姓代」の意味・読み・例文・類語

ひゃくしょう‐だい〔ヒヤクシヤウ‐〕【百姓代】

江戸時代、地方じかた三役の一。中期以降に登場し、村民代表として名主なぬし組頭による村政運営を監視する立場にあった。

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百科事典マイペディア 「百姓代」の意味・わかりやすい解説

百姓代【ひゃくしょうだい】

江戸時代の村役人庄屋肝煎・名主)・組頭年寄長百姓など)とともに村方三役人の一つで,地域により村目付・横目などとも称する。その成立は庄屋などからかなり遅れ,名主の留任問題や村方騒動などを契機に設置する例があり,江戸時代中期以降に一般化したとされる。1村に1〜2名ほどが置かれ,給金・給米(きゅうまい)はなかった。百姓を代表して庄屋・組頭とともに訴状願書などに署名する一方,庄屋らの職務を監視する性格をもち,年貢・諸役や村入用(むらにゅうよう)の割当に立ち会い,時にそれをめぐって庄屋らと対立する場合があった。

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改訂新版 世界大百科事典 「百姓代」の意味・わかりやすい解説

百姓代 (ひゃくしょうだい)

近世の村役人。村方三役の一つ。村目付,横目などといったところもある。村方三役の一つである名主(庄屋,肝煎)は近世の村体制成立とともに置かれ,名主を補佐する組頭もそれとほぼ同時期に設置されたが,百姓代の成立はそれらよりかなり遅く,中期以降一般化した。百姓代は,村の百姓を代表して名主・組頭の職務執行を監視するものとされ,名主・組頭による年貢・村入用(むらにゆうよう)の割当て不正をめぐる村方騒動などを契機に成立したものが少なくないようである。一村に1~2名程度で,組頭より少ないのが普通である。給米,給金はない。年貢・村入用の村民への割当てに参加するから読み書きそろばんの能力をもつことが必要で,多くの場合村の中層農民の中から選ばれた。中期の百姓一揆には百姓代クラスの者が結集の中心となっている例が多く見られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「百姓代」の意味・わかりやすい解説

百姓代
ひゃくしょうだい

江戸時代、村役人の一つ。名主(なぬし)(庄屋(しょうや))、組頭(くみがしら)(年寄(としより)、長百姓(おとなびゃくしょう))とともに村方(むらかた)(地方(じかた))三役の一つであるが、百姓代表として名主、組頭の村政を監視する役割ももった。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「百姓代」の意味・わかりやすい解説

百姓代
ひゃくしょうだい

江戸時代の村役人名主 (なぬし) ,組頭と合せて村方三役と呼ばれた。百姓を代表し,村入用,負担の割付けなどに立会い,名主,組頭などの村政運営を監視した。古くは長百姓 (おとなびゃくしょう) など自然発生的なものであったが,江戸時代中期以降百姓代として制度化されたものと思われる。1村1人を通例としたが,大村は2~3人おいた場合もある。無給を原則とした。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「百姓代」の解説

百姓代
ひゃくしょうだい

百姓惣代・惣百姓代・老百姓とも。江戸時代の村役人。村民を代表して名主(庄屋)・組頭(年寄)の村政執行を監察することが職務で,1~3人ほどおかれた。既存の村役人の不正を防止しようとする村民の要求により,江戸中期から広く登場した。村の諸書類に名主などとともに村の代表として連印していることも多い。しかし村民の要求によって設けられたため,各村に必ずいたわけではない。就任に際しては領主の認可を必要とせず,無給が一般的であったことなどが既存の村役人とは異なる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「百姓代」の解説

百姓代
ひゃくしょうだい

江戸時代,名主・組頭とともに地方 (じかた) 三役
本百姓から有力な者1〜3名が選出され,農民の利益代表者として年貢米の出納や村入用の割当てなどに立ち合った。地方三役のうちでは名主・組頭より出現が遅く,村政運営を監視する目付役。多くは五人組頭から選出され無給であった。

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世界大百科事典(旧版)内の百姓代の言及

【村方三役】より

…近世の村役人。名主(庄屋,肝煎(きもいり)),組頭(長(おとな)百姓,年寄),百姓代の総称。(1)名主・庄屋は村の長で,初期には前代の名主百姓や荘園の下司(げし)の系譜を引く有力農民がその地位についた。…

※「百姓代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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