《グリム童話集》53番の題名。同じタイプの話は,ヨーロッパ全域,ロシア,ギリシア,トルコなどに分布している。雪の上に落ちた3滴の血を見て,子のない女王が,雪のように白く,血のように赤く,黒檀の窓枠のように黒い子がほしいと願う。やがてそのとおり美しい娘が生まれるが,女王は死ぬ。後妻は娘の美しさをねたみ,狩人に娘を森で殺せと命じる。娘は危うく難をのがれ,山の小人の小屋にかくまわれる。鏡との会話でそれを知った継母は行商人に変装し,1度目はひもで,2度目は櫛で殺すが,小人が生き返らせる。3度目,毒のリンゴで殺すと,小人は娘の死体をガラスの棺に入れる。王子がそれをもらい受けて運ぶ途中,振動でのどのリンゴがとれ,娘は生き返り,2人は結婚する。グリム兄弟は,ヘッセン地方でいろいろな人から聞いた話をまとめてこの話を整えたことを,自らの注釈書に記している。1810年の手稿と,12年の初版では,白雪姫の命を狙うのが実母であるが,19年の第2版から,実母は死に,継母とかえられている。それはグリム兄弟の恣意でなく,口伝えのなかに実母と継母の話があったのである。
執筆者:小澤 俊夫
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『グリム童話集』(第53番)の話。子のない女王が冬に縫い物をしていて、指に針を刺し、血が3滴雪に落ちる。女王はそれを見て、雪のように白く、血のように赤く、黒檀(こくたん)の窓枠のように黒い(髪の)子がほしいと思う。やがてそのとおりの娘を生んで、女王は死ぬ。二度目の母は魔法の鏡を持ち、継子(ままこ)のほうが1000倍も美しいと聞き、狩人(かりゅうど)に命じて娘を森で殺させようとするが、狩人は娘を逃がす。娘は山の中の7人のこびとの小屋にかくまわれる。鏡によって娘の生存を知った継母が、行商人になりすまして、飾り紐(ひも)、毒の櫛(くし)、毒のリンゴで娘を殺す。ガラスの棺に入れられた娘の美しさに感動した王子が、もらい受けて運ぶうち、振動で娘ののどのリンゴがとれて、生き返り、2人は結婚する。部分的にはグリム兄弟がいくつかの話からつけ加えているが、この型の継子話はほとんど全ヨーロッパに分布している。
[小澤俊夫]
『高橋健二訳『グリム童話全集3』(1976・小学館)』
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