白衣高血圧と仮面高血圧

六訂版 家庭医学大全科 「白衣高血圧と仮面高血圧」の解説

白衣高血圧と仮面高血圧
(循環器の病気)

白衣高血圧

 医師の前では、精神的緊張のために血圧が上昇しがちです。このように、普段は正常血圧なのに診察室でだけ高血圧の基準を満たす状態を白衣高血圧と呼びます。携帯型24時間血圧計あるいは家庭血圧(コラム)の測定により白衣高血圧か本来の高血圧かが鑑別可能です。

 白衣高血圧自体は病気というより一種現象で、多くの場合は脳卒中(のうそっちゅう)心筋梗塞(しんきんこうそく)など高血圧性臓器障害にもつながりにくいとされています。したがって、高血圧を指摘された場合、とくに軽症の場合には、安易に降圧薬の服用を開始するのでなく、別の機会にも血圧を測定して白衣高血圧かどうかを確認することが必要です。

 ただし、白衣高血圧の人は将来本当の高血圧になりやすいという研究もあり、減塩など生活習慣の見直しはするべきでしょう。また、普段の血圧も高く診察室ではさらに上昇する“白衣効果”がみられる高血圧の場合には、ストレスで血圧が上がりやすいことを意味し、心血管病に関係する現象として注意が必要です。

仮面高血圧

 白衣高血圧とはまったく逆のパターンで、診察室での測定では正常なのに対し、早朝夜間、ストレスがかかった時に血圧が上昇します。仮面高血圧は、代謝異常(肥満、糖尿病脂質異常症メタボリックシンドロームなど)を伴いやすく、心臓頸動脈に高血圧性の臓器障害を発症している危険性があるとされています。正常血圧の人に比べ、心臓血管病の発症の危険性が2~3倍あるといわれています。

 仮面高血圧には、携帯型24時間血圧計あるいは家庭血圧の測定が非常に重要です。早朝高血圧夜間高血圧は積極的に治療を行う対象となります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android