白粒岩(読み)はくりゅうがん(英語表記)granulite

岩石学辞典 「白粒岩」の解説

白粒岩

最初は1757年にジャスティによってモラビアでNamiester Steinとされ,ついでWeissteinとされた岩石[Justi : 1757, Weiss : 1803].白粒岩の名称は様々な岩石に用いられる.(1) 高度の変成岩で中粒ないし細粒の明るい色の岩石で,雲母はほとんど含まれない.強い方向性を持つ縞が特徴的で,石英の多結晶のレンズと石英長石質の細粒の石基とが強い方向性のある縞を作っており,輝石石榴石,藍晶石,珪線石などが含まれる[Lehmann : 1884].(2) エスコラグラニュライト相の変成相に含まれる岩石に用いた[Eskola : 1952].(3) ミシェル─レヴィは全自形組織の細粒な白雲母花崗岩に用いた[Michel-Levy : 1874].(4) グラボウは破砕されていない砂粒程度の粒度の堆積物に用いた[Grabau : 1913].(5) ワイス粒状組織のアプライト片麻岩として用いた[Weiss : 1803].(6) 細粒の粒状または寄木状の変成岩で顕著な片理が見られない岩石.この岩石には特定の鉱物名を前に付け,直閃石斜長石石英白粒岩のように表すことがあり,同様に岩石の組成を示すために岩石名を付けて,閃長岩白粒岩のように表すことがある.(7) 広く使用されているのは高度の変成岩で粒状(granular)組織のもので,縞状ではあるが葉状の鉱物がなく強い片理は発達しない.(8) 本来定義とは関係なく変則的に使用されることもあり,主成分は石英と長石であるが,特に制限しないことがある.グラニュライト相(granulite facies)の岩石と同じに用いられることがあるが,広い変成相にまたがる場合があり混乱している.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白粒岩」の意味・わかりやすい解説

白粒岩
はくりゅうがん
granulite

グラニュライトともいう。広義には,鉱物結晶が押伸ばされて生じた縞状のいわゆるグラニュライト状組織をもつ変成岩をいう。この場合,化学組成上も変成温度上も,きわめて広い範囲の岩石が含まれる。狭義には,高温グラニュライト相条件で生成した変成岩だけをさす。この場合,主成分鉱物は石英,長石,柘榴石,輝石などである。

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