白石平野(読み)しろいしへいや

日本歴史地名大系 「白石平野」の解説

白石平野
しろいしへいや

杵島郡の東南部に広がり、北部山麓地帯から西は杵島山麓に及んでいて、南部は有明海に面す。現在の水田面積は約六千五〇〇町歩、白石町・有明町福富ふくどみ町の全域と江北町・大町町・北方町の山麓部を除く地域である。この平野は有明海の海退と干拓によって弥生時代後期以降に生れたもので、約七〇パーセントは標高三―五メートルの低地となっている。

現江北町東分ひがしぶんの地表下約二メートルの沖積層から一千数百年前のものと推定される大量の鯨骨が出土し、調査の結果、体長五メートル以上の鯨の骨であることが確認された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「白石平野」の意味・わかりやすい解説

白石平野
しろいしへいや

佐賀県南部、有明(ありあけ)海湾奥部にある平野。広義佐賀平野の一部で、とくに北の六角川(ろっかくがわ)と南の塩田川(しおた)との間の平野部をいう。ほとんどが杵島(きしま)郡の白石に属する。西方には万葉の名山杵島山があり、古代の条里制遺構も認められる。東方に向け近世以降開発の搦(からみ)名などの広大な干拓地が広がり、地先に国営有明干拓地をみる。水不足に悩み、深井戸灌漑(かんがい)が普及したが、地盤沈下を招き、用水対策に追われていた。2012年(平成24)には当平野への灌漑などを目的とした嘉瀬川ダムが、佐賀市北東部の嘉瀬川上流部に完成している。典型的な米どころであるが、麦、大豆の生産、「しろいし牛」で知られる畜産も盛ん。ほかに特産の蓮根(れんこん)、タマネギ、イチゴなどが知られる。この地方の伝統建築「くど造り」民家(屋根の棟がコの字状になっており、くど(かまど)の形に似ている)が分布している。

[川崎 茂]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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