白石(市)(読み)しろいし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「白石(市)」の意味・わかりやすい解説

白石(市)
しろいし

宮城県南西部に位置する市。1954年(昭和29)白石町と越河(こすごう)、斎川(さいかわ)、大平(おおだいら)、大鷹沢(おおたかざわ)、白川(しらかわ)、福岡の6村が合併して市制施行。1957年小原(おばら)村を編入。白石盆地南半を占め、JR東北本線、東北新幹線、国道4号、113号、457号、東北自動車道が通じる。中世に白石氏の拠(よ)った所で、近世には仙台藩の家老片倉氏の城下となり、奥州街道の宿駅でもあった。1868年(慶応4)には戊辰(ぼしん)戦争を前に奥羽越列藩同盟の締結地として明治維新の一こまを飾った。片倉氏の奨励になる和紙や饂麺(うーめん)の製造は、白石川から引いた水路湧水(ゆうすい)と冬の乾燥気候を利用したもので、和紙は現在では民芸品として名残(なごり)をとどめ、伝統を継ぐ食品工業はなお盛んで、製粉や饂麺、はるさめなどが生産される。ほかに縫製、電子、ナイロンなどの工業がある。農業は米作のほか、酪農が盛んで、カキ、キュウリやシイタケが特産物となっている。鎌先(かまさき)温泉、小原温泉、白石湯沢温泉などがある。鎌先に近い弥治郎(やじろう)のこけしは郷土玩具(がんぐ)として著名で、宮城伝統こけしとして国の伝統的工芸品に指定される。白石では全日本こけしコンクールが開かれる。小原には材木岩(国の天然記念物)や徳富蘇峰(とくとみそほう)の命名になる碧玉渓(へきぎょくけい)の景勝があり、またヨコグラノキ、ヒダリマキガヤ、コツブガヤなどは国の天然記念物に指定されている。東部には国の天然記念物球状閃緑岩(きゅうじょうせんりょくがん)(菊面石)の産地がある。越河は江戸時代奥州街道の宿で藩境に位置したため、伊達(だて)の大木戸とよばれる越河関所跡があり、同じく宿場だった斎川は小児の疳(かん)の薬「孫太郎虫(まごたろうむし)」の産地である。面積286.48平方キロメートル、人口3万2758(2020)。

[長谷川典夫]

『『白石市史』全8冊(1971~1987・白石市)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android