白根山(日光)(読み)しらねさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「白根山(日光)」の意味・わかりやすい解説

白根山(日光)
しらねさん

群馬県利根(とね)郡片品村(かたしなむら)と栃木県日光市にまたがる火山草津白根に対して日光白根とよばれる。標高2578メートル。関東以北の最高点。前白根山などが外輪山をなす二重式火山のようにみえるが、前白根山は第三紀の流紋岩からなり、この西側山腹に石英安山岩溶岩円頂丘とされる奥白根山ができた。溶岩は北西方向に流れて谷をせき止め、丸沼、菅沼(すげぬま)を形づくった。西方の蛍塚山(けいづかやま)楯状(たてじょう)溶岩や周囲の小円頂丘と複合している。日光諸火山のうちでももっとも新しい火山で、有史時代に入ってからも、1625年(寛永2)、1649年(慶安2。福島県会津地方まで降灰)、1872~1873年(明治5~6。利根川の魚被害)、1889年に噴火したが、すべて奥白根山の水蒸気爆発であった。第二次世界大戦後の1952年(昭和27)夏にも火山性異常現象(噴煙多量、鳴動)が認められたが、最近は噴気地域は存在しない。日光湯元温泉、金精(こんせい)峠、菅沼などから登山路が通じるが、いずれも健脚向きである。頂上付近は岩石帯であり、菅沼、燧ヶ岳(ひうちがだけ)、日光連山、富士山が見渡される。日光国立公園区域に含まれる。

諏訪 彰・平山光衛]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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