白描図像(読み)はくびょうずぞう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白描図像」の意味・わかりやすい解説

白描図像
はくびょうずぞう

密教の修法に用いる諸尊曼荼羅などを,墨線のみの素描で図示したもの。密教では修法についての儀軌作法が著しく難解でかつ秘密的であるため,図をもって伝法することが行われた。巻子冊子が多いが,仏画制作のための下図ともみられる大きさで,彩色の注記を伴った一枚図もある。なかには淡彩を施した図があり,広く図像ともいう。『五部心観』 (園城寺) などの中国から将来された原本やその転写本のほか,日本の阿闍梨が考案した図像も多い。平安時代末に図像に対する関心が高まり,異種異形の諸尊,曼荼羅や白描図像の転写,収集が行われた。また図像を尊別や修法ごとに収集,整理した図像集図像抄』『別尊雑記』『覚禅抄』などが次々に編纂された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android