白井亨(読み)しらいとおる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「白井亨」の意味・わかりやすい解説

白井亨
しらいとおる
(1783―1843)

江戸後期の剣術家。天真(てんしん)白井流の祖。江戸の人。本姓大野氏、名は義謙(よしのり)、鳩洲(きゅうしゅう)・錬丹舎(れんたんしゃ)と号す。8歳のとき剣術に志して機迅流(きじんりゅう)依田秀俊の門に入り、15歳のとき改めて一刀流中西忠太子啓(ちゅうたたねひろ)の門に入り、めきめきと腕前をあげた。1805年(文化2)中西の道場を出て武者修行を試み、11年江戸へ戻り中西道場の先輩寺田五右衛門宗有(むねあり)に改めて師礼をとった。1815年寺田より天真伝(てんしんでん)一刀流の印可を受けて、下谷御徒町(したやおかちまち)に道場を開き、19年(文政2)36歳、『明道論(めいどうろん)』『神妙録(しんみょうろく)』『天真録(てんしんろく)』の3巻の伝書をまとめ、一刀流別伝天真伝兵法と称した。晩年は著作に打ち込み、41年(天保12)大野家を再興し、43年天真白井流と改めた。

[渡邉一郎]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「白井亨」の解説

白井亨 しらい-とおる

1783-1843 江戸時代後期の剣術家。
天明3年生まれ。江戸の人。天真伝兵法(天真白井流)の祖。一刀流中西忠太の門にまなび,のち各地を武者修行。江戸にかえって寺田宗有(むねあり)に師事し,印可をうけて下谷御徒町(したやおかちまち)に道場をひらいた。天保(てんぽう)14年11月14日死去。61歳。名は義謙。号は鳩洲(きゅうしゅう)。著作に「兵法未知志留辺(みちしるべ)」など。

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