精選版 日本国語大辞典 「病」の意味・読み・例文・類語
や・む【病】
[1] 〘自マ五(四)〙
① 病気にかかる。気分が悪くなる。わずらう。
② 精神的に苦しむ。心に悩む。
※万葉(8C後)一三・三三二九「恋ふれかも 胸の病(やみ)たる 思へかも 心の痛き あが恋ぞ」
③ 傷などが、痛む。
[2] 〘他マ五(四)〙
① 病気におかされる。
※書紀(720)雄略八年二月(前田本訓)「陽(いつは)りて其(そ)の腹(はら)を患(ヤム)まねにして退りて在後(おくれ)たり」
② 物事をひどく気にかける。心配する。思いわずらう。
やま‐・す【病】
[1] 〘他サ下二〙 体を打つ。痛めつける。打ってこらしめる。
※天草版金句集(1593)「シシャウ デシヲ yamasuru(ヤマスル) コトワ ニクンデデワ ナイ」
[2] 〘他サ四〙
① (一)に同じ。
※玉塵抄(1563)二二「あをのいてしたたかあたまをやまして、ほうべらのあぎとをうつるぞ」
② 痛める。病む。
※開化問答(1874)〈小川為治〉二「この旧平は恒にこれ等の事を以てこの湯鑵頭(やくゎんあたま)を病(ヤマ)すことでござる」
やまい やまひ【病】
〘名〙
※書紀(720)皇極二年八月(岩崎本訓)「天皇皇祖母の命の臥病(みヤマヒし)たまひしより」
② 欠点。短所。きず。また、詩歌・文章などで修辞上きらうこと。
※源氏(1001‐14頃)玉鬘「和歌の髄脳、いと所せう、やまひさるべき所多かりしかば」
③ 苦労のたね。気がかり。心配。
※竹取(9C末‐10C初)「御こしはをれにけり。中納言は〈略〉それをやまひにていとよわく成給ひにけり」
やもう やまふ【病】
〘名〙 =やまい(病)
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)八「茲を以て貶(おと)しめ失ひて惑(まとひ)を致して病(ヤマフスル)かな」
※平家(13C前)一「おもき御病(ヤマフ)〈高良本ルビ〉をうけさせ給しかば」
やま・う やまふ【病】
※永久百首(1116)恋「おく山の草かくれなるはたつもりしられぬ恋にやまふ比哉〈藤原仲実〉」
やも・う やもふ【病】
〘自ハ四〙 =やまう(病)
※大慈恩寺三蔵法師伝院政期点(1080‐1110頃)八「茲の貶(へむ)失を以て惑を致す。病(ヤモヱルカナ)」
やみ【病】
〘名〙 (動詞「やむ(病)」の連用形の名詞化) 病むこと。やまい。病気。多く他の語と複合して用いる。「中風やみ」「肺病やみ」など。
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