病的でない蛋白尿

六訂版 家庭医学大全科 「病的でない蛋白尿」の解説

病的でない蛋白尿
(腎臓と尿路の病気)

蛋白尿は以下のように分類されます。

①生理的蛋白尿(体位性蛋白尿、機能性蛋白尿)

糸球体性(しきゅうたいせい)蛋白尿

③尿細管性蛋白尿

溢流性(いつりゅうせい)腎前性(じんぜんせい))蛋白尿

 このうち、①生理的蛋白尿は、起立時または立位で背中を後方へ反らす体位をとった時に出現する体位性蛋白尿と、運動・高熱・精神緊張などが原因で発生する機能性蛋白尿があります。これらの蛋白尿は、腎臓の血液を濾過し尿を作る部分である、糸球体血行動態異常による蛋白の透過性の亢進が原因として考えられていますが、ほとんどが一過性にとどまり、蛋白尿量も1日1.0g以上になることはないとされ、治療の対象になりません。

 体位性蛋白尿の頻度は比較的高く、簡便な検査法としては、就寝前に完全排尿したのち起床時尿と外来時尿とを比較し、前者で蛋白尿陰性、後者陽性となる場合を体位性蛋白尿と判定します。

 尿蛋白量が1.0g/日以上認められたり、血尿を伴う場合は②の糸球体性蛋白尿のことが多く、腎不全に進行する危険もあるので、専門医での精密検査、経過観察が必要です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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