異素六帖(読み)イソロクジョウ

デジタル大辞泉 「異素六帖」の意味・読み・例文・類語

いそろくじょう〔イソロクデフ〕【異素六帖】

洒落本。2巻。沢田東江著。宝暦7年(1757)刊。僧侶歌学者儒者三人がより集まって遊里について論じるという筋。書名中国仏書「義楚六帖」をもじったもの。江戸洒落本の祖といわれる。

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精選版 日本国語大辞典 「異素六帖」の意味・読み・例文・類語

いそろくじょう イソロクデフ【異素六帖】

洒落本。二巻二冊。中氏嬉斎(沢田東江)作。宝暦七年(一七五七)刊。国学者、儒者、僧侶の三人が遊里のことを談じ、遊里の題に「唐詩選」と「百人一首」の句をつけあうという筋立て。書名は中国の仏書「魏楚六帖」をもじったもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「異素六帖」の意味・わかりやすい解説

異素六帖 (いそろくじょう)

洒落本。2冊。中氏嬉斎(なかうじきさい)(沢田東江(とうこう))作。1757年(宝暦7)江戸で刊行。書名は漢籍《義楚六帖》をもじる。上巻では仏者,歌学者,儒者が会合して,色道,遊興について論を戦わせ,下巻では吉原の遊里に関する種々の題を出して,《唐詩選》《百人一首》からその趣にあてはまる文句を抜き出し,略画,戯注を加える。上巻では3者それぞれにふさわしい論述主張が,かなり自由な写実的会話文体で描かれ,下巻では卑俗な遊里の細かい習俗などが,古典にこじつけられるおかしさを主とする。新しい表現文体をようやく駆使するとともに,知識人による知的な諧謔巧緻をきわめた,初期洒落本の代表作と言える。
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