(読み)せ

精選版 日本国語大辞典 「畝」の意味・読み・例文・類語

せ【畝】

〘名〙 地積単位。一段(たん)の一〇分の一。三〇歩(ぶ)。昔は、三六歩。約一〇〇平方メートル(約一アール)。
※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「Fitoxe(ヒトセ)
[補注]町反畝歩制は天正期(一五七三‐九二)から採用されたが、菅浦文書や寛正二年(一四六一近江朽木文書に畝を用いた例が見られ、近江ではそれ以前より使われていたと考えられる。なお中国の畝は日本の反にあたり、同一ではない。

ほ【畝】

〘名〙 中国で、土地の面積の単位。古くは、六尺四方を歩(ぶ)とし、一〇〇歩を一畝としたが、秦以後は、二四〇歩を一畝とした。日本の畝(せ)とは異なり、日本の単位では、むしろ段(たん)の方に近い
菅家文草(900頃)二・柴扉「問得一柴扉、半畝家庭小」 〔塩鉄論‐未通〕

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デジタル大辞泉 「畝」の意味・読み・例文・類語

ほ【畝】[漢字項目]

常用漢字] [音]ホ(慣) [訓]せ うね
〈ホ〉畑のうね。「畎畝けんぽ田畝でんぽ
〈せ〉田畑の面積の単位。一反の10分の1。「畝歩せぶ
〈うね〉「畝織平畝

せ【畝】

尺貫法の土地の面積の単位。1たんの10分の1。30。1畝は99.174平方メートル。約1アール。

ほ【畝】

中国の田地面積の単位。周代に6尺四方を1、100歩を1畝とし、秦以後は240歩を1畝とした。日本のとは別。

うね【畝/×畦】

作物を植えつけたり種をまいたりするため、畑の土を幾筋平行に盛り上げた所。
高い所と低い所が1のように平行して連なった物や形。波や地形織物などにいう。「―のある生地

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改訂新版 世界大百科事典 「畝」の意味・わかりやすい解説

畝 (うね)

筋まきや筋植えをする植物を作付けるために,圃場(ほじよう)を耕起・砕土したのちにまき溝(作条)をつくるが,その作付けをする場所を畝という。畝には畑面をきって溝と溝の間を高く盛り上げる高畝(通常,畝の高さが地表面から15cm以上にもなる),畑面とほとんど高さを同じくする平畝,およびこの中間の畝がある。高畝の形状はいろいろで,丸形,角形,かまぼこ形などで形容できる。幅も数cmから1mをこえる広幅畝もある。畝を立てる目的は,以下にあげられる。(1)畝間の溝に比べて畝部は高いので排水が良好であり,土壌水分を好適な条件に保てる。(2)膨軟な土壌を厚く確保できるので土壌硬度の面で植物根の発育に良好である。(3)以上の理由から単位体積の土壌中に占める空気容積割合が多く,また通気性も良好である。植物の生育に良好である空気の容積%は,植物によっても違うが,ほぼ30cm以浅に18%以上あることが望ましいといわれている。(4)その形状から日射を受ける面積が大で,地温の上昇に有利なうえ風を受ける面積が大きいので,水分蒸発が盛んで土は乾燥しやすい,などである。植物生育に良好な水分は,重力によって排除するだけでは過湿で,蒸発によってそれ以上に乾燥することが求められる場合が多い。一方,畝は農作業を不利にし,農業機械の導入にも不便で,そのうえ圃場内の栽培可能面積を小さくし,畝立てには多くの労力がかかる。この点では平畝が有利である。最近では,畝を作らず耕起・砕土後ただちに機械によってまき溝をきって播種(はしゆ)する方法がふえてきている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「畝」の意味・わかりやすい解説


日本固有の土地面積の単位。1反(たん)(段)の10分の1をいい、30歩(ぶ)(坪)にあたる。律令(りつりょう)の田制にはなく、太閤検地(たいこうけんち)(1591)の検地帳に現れる。日本の畝は単に字を借りたもので、中国では「ホ」または「ボウ」と読み、周代からの土地面積の単位で、100平方歩に始まり、その後240歩に変わる。また斉(せい)(北斉)のとき360歩を畝としたともいわれ、周制を小畝、240歩を中畝、360歩を大畝とよんだという。

[小泉袈裟勝]

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百科事典マイペディア 「畝」の意味・わかりやすい解説

畝【せ】

尺貫法の面積の単位。1畝=30歩(ぶ)=1/10反(たん)=1/100町≒99.174m2=0.99174a。

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単位名がわかる辞典 「畝」の解説

せ【畝】

土地の面積の単位。30歩(ぶ)を1畝とする。計量法では、約0.991a(アール)に相当する。古代中国から田地用に使われてきたが、日本では16世紀末の太閤(たいこう)検地から使われたとされている。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【段∥反】より

…尺貫法における面積の単位。大宝令以後,地積を表すのに用いられ,1891年制定の度量衡法により,36平方尺(1間四方)を歩(ぶ),30歩を畝として,段は10畝,すなわち300歩と定められた。約992m2であり,10aに近い。…

【度量衡】より

…陳氏のもとの斉の国では容量の単位が五進法に変えられ,また現存する子禾子銅釜,左関銅に見られるように標準量器も作られた。戦国の秦の国では商鞅(しようおう)の変法が実施され,畝積制を含む土地改革がなされるとともに,〈斗桶,権衡,丈尺〉の度量衡を標準化する法が実施され,前344年には標準量器の商鞅銅方升が作られ,秦の始皇帝による中国全土の度量衡統一の基礎となった。前221年始皇帝はみずからの詔を刻ませた標準となるべき分銅(銅権,鉄石権)と枡(銅方升)を作り,同時に尺度や車軌も統一させた。…

※「畝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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