画竜点睛(読み)ガリョウテンセイ

デジタル大辞泉 「画竜点睛」の意味・読み・例文・類語

がりょう‐てんせい〔グワリヨウ‐〕【画竜点×睛】

中国、梁の張僧繇ちょうそうようが、金陵安楽寺の壁にかいた竜にひとみを入れたら、たちまち雲に乗って昇天したという「歴代名画記」七の故事から》最後の大事な仕上げ。また、ほんの少し手を加えることで全体が引き立つこと。→画竜点睛を欠く
[補説]「がりゅう」とは読まない。また、「点睛」を「点晴」とは書かない。

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四字熟語を知る辞典 「画竜点睛」の解説

画竜点睛

物事眼目、中心となる大切なところ。最後にたいせつな部分を付け加えて、物事を完全に仕上げること。

[使用例] こんなに女から思われている色男は、いったい何者だろうかとの好奇心を、最後の一行が尽きて、名あての名が自分の目の前に現われるまで引きずっていった。ところがこの好奇心が遺憾なく満足されべき画竜点睛の名前までいよいよ読み進んだ時、自分は突然驚いた[夏目漱石手紙|1911]

[使用例] 瓢箪今夜の会に呼ばぬ法がない、とか、秋庭さんが折角大阪から来ているのに、瓢箪が来なくては画竜点睛を欠くとか、あげく、「庶務課長、ちと、気が利かんぞ。」と、口口に囃しはじめた[源氏鶏太*随行さん|1950]

[解説] ちょうそうようという画家が、さる寺に四匹の白竜像を描きました。その竜には瞳がありませんでした。「瞳を描くと、空に飛んで行ってしまう」というのですが、人は信じません。無理に瞳を描いてもらったところ、そのうち二匹が天に昇ってしまいました。まだ瞳を描いていない二匹だけが残ったといいます。
 唐代の「歴代名画記」にある話で、「画竜点睛」という語の元になりました。絵の竜に瞳を点じる、つまり、最後の肝心な仕上げを意味することばです。
 例文の[手紙]では、女から男へのラブレターを盗み読んでいる主人公が、「これは誰にあてた手紙か」と関心を持ちます。その肝心のあて名を「画竜点睛」と表現しています。珍しい使い方です。
 多くの場合は、例文の[随行さん]にあるように、「画竜点睛を欠く」の形で使われます。肝心の部分が欠けていて、全体が台なしになっているという意味。[随行さん]では、肝心の人物が来ないことを指して、そう表現しています。

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とっさの日本語便利帳 「画竜点睛」の解説

画竜点睛

竜を描いて睛(ひとみ)に墨を点ずること、最後の仕上げをすること。画人が最後に睛を点じた竜は壁を破って飛び去ったという。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

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