画所(読み)えどころ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「画所」の意味・わかりやすい解説

画所
えどころ

平安時代から江戸時代まで続いた、画師の公的な職制。絵所とも書く。画所画師に選ばれるということは、画技が世の中に認められると同時に身分が保証され生活が安定することを意味した。画所は宮廷のほかにも社寺あるいは院にも置かれ、また室町幕府は御用画師を召し抱えたが、これもときには画所とよばれている。宮廷の画所がいつから置かれたのかは明確ではないが、9世紀後半には記録があり(『三代実録』)、9世紀なかばごろの成立かと考えられている。画所には、事務官である別当(べっとう)のもとに専門画家である預(あずかり)や墨画(すみがき)などが置かれて、世俗的な絵画を描いたり、建築装飾、調度、衣装のデザインや彩色などを行った。社寺の興隆に伴い鎌倉時代には、興福寺などの大社寺は画所をもち、絵仏師らを抱え、彼らはおもに仏画の制作や堂宇仏像の彩色などにあたった。室町幕府は大和絵(やまとえ)系、漢画系の2流派からそれぞれ御用絵師を定めたが、江戸幕府狩野(かのう)三家を重要な御用絵師(奥絵師)として登用した。土佐派は室町時代には宮廷などの画所預にあったが一時とだえ、江戸時代に入り光起(みつおき)の代に預職に復帰した。また土佐派の門人である広通(ひろみち)は住吉如慶(すみよしじょけい)と称し、その子の具慶(ぐけい)は江戸に下り幕府の奥絵師となり、以後住吉派は狩野派とともに御用絵師を務めた。

[加藤悦子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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