甲板
こうはん
deck
かんぱん,デッキ。建築物の各階の床に相当する船内の床で,甲板梁の上に鋼板または木板を張って上下に分ち,居住,作業の場所,機械,貨物の積載場所となる主要な部分である。構造上,船体の縦強度を受持ち,風雨,波浪,日光に対して強度と水密性が要求される。鋼甲板と木甲板があり,木甲板にはチーク,ケヤキなどの硬材と,マツ,ヒノキ,スギなどの軟材のものがある。客船では居住区と通行部分は普通鋼甲板とする。最上全通甲板を上甲板といい,それから下方のものを順に第2甲板,第3甲板と呼ぶ。その他用途,位置,形状によって,船橋甲板,遊歩甲板,ボート甲板,コンパス甲板,乾舷甲板,遮浪甲板,隆起甲板,平甲板,台甲板などいろいろな名称がある。
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甲板【こうはん】
〈かんぱん〉,デッキとも。船の肋骨(ろっこつ)を結ぶ梁(はり)の上に鋼板,木板を張った床。構造上は全体の剛性と縦の強度を与える。海水浸入防止,荷物の積載,構造物保持などの役目をもつ。大型船では多層の甲板があり,位置,用途によって上甲板,下甲板,ボート甲板,遊歩甲板,船橋楼甲板などと呼ぶ。
→関連項目航空母艦|造船
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かん‐ぱん【甲板】
① 船の
上部にあって、梁
(はり)に木または
鉄板を
一面に敷きわたした広く平らな床
(ゆか)。デッキ。こうはん。〔和英語林集成(
初版)(1867)〕
② 江戸時代、弁才造荷船の三の間の上に設けた亀の甲状の水密の
板張り。
かっぱ。
こう‐はん カフ‥【甲板】
〘名〙 船の上部にあって、梁(はり)に木または鉄板を一面にしきわたした平らな床(ゆか)。かんぱん。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉八「甲板(〈注〉カンパン)上に睡り」
こう‐いた カフ‥【甲板】
〘名〙
① 机、台、棚などの上面の板。
② 神社建築などで、鰹木(かつおぎ)をのせるために棟に沿って取りつけられる長い板材。
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デジタル大辞泉
「甲板」の意味・読み・例文・類語
こう‐いた〔カフ‐〕【甲板】
1 机・棚などの上面の板。
2 神社建築などで、鰹木を支えるために、棟に沿って渡してある長い厚板。
こう‐はん〔カフ‐〕【甲板】
船の上部にあって、鉄板または木板を張りつめた広く平らな床。デッキ。かんぱん。
[類語]甲板・デッキ
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こうはん【甲板】
〈かんぱん〉あるいはデッキdeckとも呼ばれる。船体の深さ方向に対して水平に設けられる板状の構造物で,船体に水密性,強度,剛性を与えるとともに,乗客・乗組員の居住,貨物の積付け,船体に装備される各種の機械装置の設置に必要な床と区画を提供する。一般に,複数の甲板が層状に設けられるが,もっとも重要なのは最上層の全通甲板であり,これを上甲板という。乾玄を測る基準となる甲板を乾玄甲板というが,通常,上甲板がこれにあたる。
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世界大百科事典内の甲板の言及
【甲板】より
…船体の深さ方向に対して水平に設けられる板状の構造物で,船体に水密性,強度,剛性を与えるとともに,乗客・乗組員の居住,貨物の積付け,船体に装備される各種の機械装置の設置に必要な床と区画を提供する。一般に,複数の甲板が層状に設けられるが,もっとも重要なのは最上層の全通甲板であり,これを上甲板という。乾玄を測る基準となる甲板を乾玄甲板というが,通常,上甲板がこれにあたる。…
【船体構造】より
…船体には,必要とされるこれらの強度を十分にもつとともに,その船の用途に適した構造が採用される。船体強度
[構造形式]
貨物船の船倉は,その船種に応じてそれぞれの貨物の積載と荷役に適した固有の構造様式となっているが,船体構造という観点から機能別に分解すると甲板構造,船底構造,船側構造,隔壁構造という共通の構造部分に大別することができる。甲板は船体の深さ方向に対して水平に設けられる板状の構造物である。…
※「甲板」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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