甲斐無・効無(読み)かいない

精選版 日本国語大辞典 「甲斐無・効無」の意味・読み・例文・類語

かい‐な・い かひ‥【甲斐無・効無】

〘形口〙 かひな・し 〘形ク〙
① 物事を行なったり、希望したりしただけの効果がない。やっただけのしるしがない。
※竹取(9C末‐10C初)「『あなかひなのわざや』との給ひけるよりぞ、思ふにたがふ事をば、かひなしと言ひける」
※太平記(14C後)三五「藻塩草ならでは敷物もなく、礒菜(いそな)より外は可進物も侍らねば、中々宿を借し奉ても甲斐(カイ)なしと侘(わび)ける」
② いまさら行動したり希望したりしてみても仕方がない。ほかに方法がない。しようがない。
源氏(1001‐14頃)若紫「なにか、さしもおぼす。今は世になき人の御事はかひなし。おのれあれば」
③ とるにたりない。値打ちがない。
※源氏(1001‐14頃)澪標「かひなき身ながらも、〈略〉とざまかうざまに、ものを思ししるまで、見たてまつらむとこそ思ひ給へつれ」
④ (「かいなくなる」の形で) 死ぬ、むなしくなるの意にいう。
※源氏(1001‐14頃)夕霧「もし、かひなくなりはてはべりなば」
心意気が弱々しい。意気地がない。甲斐性がない。ふがいない。
日葡辞書(1603‐04)「ココロガ cainǒte(カイナウテ)
⑥ 体が弱い。体の機能が衰えている。病身である。
※応永本論語抄(1420)季氏「五十は始て衰るほどに、血気も衰て、うでも弱く膝もかいなくなるほどに」
⑦ 十分でない。乏しい。恵まれない。悪い。
黄表紙・紅皿欠皿往古噺(1774か)「はて扠(さて)運のかひない男だ」
かいな‐げ
〘形動〙
かいな‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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