甲山(広島県)(読み)こうざん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「甲山(広島県)」の意味・わかりやすい解説

甲山(広島県)
こうざん

広島県東部、世羅郡(せらぐん)にあった旧町名(甲山町(ちょう))。現在は世羅町の東部を占める地域。1898年(明治31)町制施行。1955年(昭和30)三川(みかわ)、東(ひがし)、宇津戸(うづと)の3村と合併。2004年(平成16)世羅町、世羅西(せらにし)町と合併、世羅町となる。旧町域は、吉備(きび)高原の一部世羅台地にあり、芦田(あしだ)川が蛇行しながら東西に貫流する。JR福塩(ふくえん)線、国道184号、432号が通じる。中心地区の甲山は平安時代には高野山(こうやさん)領大田荘(おおたのしょう)の中心であり、また龍華(りゅうげ)寺(今高野山)の門前町として、出雲(いずも)への街道の宿駅として栄えた。林業米作、和牛飼育、施設園芸などが中心であるが、近年は企業誘致にも力を入れている。マツタケが特産。経木帽子(きょうぎぼうし)の生産は有名で、ウコギ科コシアブラを材料とし、海外へも輸出していたが、現在は生産量が減少している。芦田川には三川ダム(神農湖)と、1997年に完成した八田原(はったばら)ダムによる芦田湖がある。龍華(りゅうげ)寺の十一面観音立像(2躯)、文裁寺の十一面観音立像と聖観音立像(いずれも観音堂安置)、丹生(たんじょう)神社の木造獅子頭は、国指定重要文化財。

[北川建次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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