田遊び[藤守](読み)たあそび[ふじもり]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田遊び[藤守]」の意味・わかりやすい解説

田遊び[藤守]
たあそび[ふじもり]

静岡県中部,焼津市藤守の大井八幡宮で毎年 3月17日に行なわれる祭り。かつては旧暦正月17日に行なわれていた。神社の舞台で,番外の「天狗」から始まり,「長刀」「振取(ふっとり)」「御獅子」のあと,「鍬入」「荒田」「寄塗」「水口申」「鳥追」「山田」「徳太夫」「麦搗」「田植」「代草」「孕早乙女」「小編木(ござさら)」「早乙女」「高野殿」「棒」「神子(かみこ)舞」「間(ま)田楽」「猿田楽」「宝来ほうらい)」「稲刈」と,耕作に関わる演目と演劇的な演目が続き,再び「長刀」「御獅子」が行なわれ,番外の「鯛釣」「天狗」で終わる。このうち,「振取」と「徳太夫」「棒」「間田楽」「猿田楽」では,舞手が頭には造花の飾りを付けた花笠をかぶり,色たすきを着て登場する。このときの色たすきは,本来は新嫁から借りることになっており,子をはらむこととイネの開花とが合わさって,豊作を祈る意味があるとされる。国の重要無形民俗文化財。田遊びは大井川流域数ヵ所に伝承されている。(→田遊び

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