田中貢太郎(読み)たなかこうたろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「田中貢太郎」の意味・わかりやすい解説

田中貢太郎
たなかこうたろう
(1880―1941)

小説家随筆家。高知県生まれ。小学校3年で中退、漢学塾に通い、代用教員、新聞記者などの職業を経て、1909年(明治42)田岡嶺雲(れいうん)の『明治叛臣(はんしん)伝』の調査、執筆に協力したのち、『中央公論』の「説苑(ぜいえん)」欄に情話物や怪奇物を執筆した。作品は紀行文を含む随想と情話の系譜にたつ実録物、それに怪異譚(たん)に大別される。代表作には『怪談全集』(1928)、実録風の長編小説『旋風時代』(1929~30)などがあげられる。

磯貝勝太郎

『『大衆文学大系11 田中貢太郎他集』(1972・講談社)』

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百科事典マイペディア 「田中貢太郎」の意味・わかりやすい解説

田中貢太郎【たなかこうたろう】

小説家,随筆家。高知県生れ。大町桂月師事,また田岡嶺雲知遇を得,《明治叛臣伝》の調査編集にあたった。《田岡嶺雲,幸徳秋水,奥宮健之追懐録》(1914年)で認められた。その後《怪談青灯集》など怪談ものを多く執筆,また明治維新に材をとった《旋風時代》など大衆文壇に独自の境地を開いた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田中貢太郎」の意味・わかりやすい解説

田中貢太郎
たなかこうたろう

[生]1880.3.2. 高知,三里
[没]1941.2.1.
作家,随筆家。小学校中退。『ホトトギス』の懸賞小説に当選。大町桂月に師事,田岡嶺雲の『明治反臣伝』 (1909) の調査,執筆に協力した。代表作『旋風時代』 (29~33) では明治維新の顕官情痴の生活を奔放に描いて独自の境地を開いた。 1940年菊池寛賞受賞。『怪談青灯集』 (27) など怪談物も書き,『聊斎志異 (りょうさいしい) 』の翻訳もある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田中貢太郎」の解説

田中貢太郎 たなか-こうたろう

1880-1941 大正-昭和時代前期の小説家。
明治13年3月2日生まれ。大町桂月に師事し,「田岡嶺雲・幸徳秋水・奥宮健之追懐録」が出世作となる。「中央公論」の「説苑(ぜいえん)」欄に実録,情話,怪異譚をかき,雑誌博浪沙」を創刊した。昭和16年2月1日死去。62歳。高知県出身。号は桃葉。著作に「旋風時代」など。

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