田中美知太郎(読み)たなかみちたろう

精選版 日本国語大辞典 「田中美知太郎」の意味・読み・例文・類語

たなか‐みちたろう【田中美知太郎】

哲学者新潟県の生まれ。京都大学教授。古代ギリシア哲学、特にプラトン研究に業績がある。著書に「ロゴスイデア」「哲学初歩」「プラトン」「市民国家」など。文化勲章受章。明治三五~昭和六〇年(一九〇二‐八五

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デジタル大辞泉 「田中美知太郎」の意味・読み・例文・類語

たなか‐みちたろう〔‐ミチタラウ〕【田中美知太郎】

[1902~1985]哲学者。新潟の生まれ。京大教授。古代ギリシャ哲学、特にプラトン研究に業績をあげた。文化勲章受章。著「ロゴスとイデア」「プラトン」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田中美知太郎」の意味・わかりやすい解説

田中美知太郎
たなかみちたろう

[生]1902.1.1. 新潟
[没]1985.12.18. 京都
哲学者,評論家。ギリシア哲学の権威。 1926年京都大学哲学科選科卒業。 1928年から法政大学講師,1930年からは東京文理大学講師を務めながら,ギリシア哲学のみならず,文学,歴史など西洋古典学全般にわたって研鑽を積んだ。 1945年の東京大空襲で大やけどを負う。 1947年京都大学助教授,1950~65年教授。 1950年,呉茂一,高津春繁らと日本西洋古典学会を設立し,1956~65年同委員長を務めた。さらに 1968年には福田恆存小林秀雄,鈴木重信らと日本文化会議を設立,理事長となって「責任ある自由」の立場から評論活動を繰広げた。 1938年プラトンの『テアイテトス』の訳注を処女作に,『ロゴスとイデア』 (1947) ,『善と必然との間に』 (1952) ,『哲学からの考察』 (1986) など,ギリシア哲学者の著作悲喜劇の翻訳,および哲学論文集で日本の哲学界に新たな局面を切り開いた。さらに第2次世界大戦後は政治論や文明評論の分野でも存在感を示し,『政治的関心』 (1948) ,『原子力時代に思う』 (1954) ,『市民と国家』 (1983) など多くの評論や随筆を発表した。晩年には緑内障による視力障害をおして『プラトン』全4巻 (1979~84) を書き上げた。 1972年文化功労者。 1978年文化勲章を受章。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「田中美知太郎」の意味・わかりやすい解説

田中美知太郎
たなかみちたろう
(1902―1985)

西洋古典学者、評論家。明治35年新潟県に生まれる。1926年(大正15)京都帝国大学文学部哲学科選科修了。法政大学、東京文理科大学講師(ギリシア語と哲学の担当)を経て、1947年(昭和22)京都帝国大学文学部助教授となり、1950年京都大学文学部教授。1978年に文化勲章を受章。生涯を古代ギリシア哲学研究に捧(ささ)げるとともに、政治にも関心をもち、時流にけっしておもねることのない評論を発表する。その文体は明晰(めいせき)で、だれにでも理解できることを目ざした。その結果、研究と啓蒙(けいもう)が一体となっている点に特色がある。晩年はプラトン研究に専念した。昭和60年12月18日死去。

 代表的著作としては『ロゴスとイデア』(1947)、『哲学初歩』(1950)、『善と必然との間』(1952)、『プラトン』全4巻(1979~1984)、『市民と国家』(1983)、『哲学談議とその逸脱』(1986)などがある。ほかにプラトンその他の翻訳が多数ある。

[原島 正 2016年9月16日]

『『田中美知太郎全集』全14巻(1968~1971/増補版・1987〜1990・筑摩書房)』

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百科事典マイペディア 「田中美知太郎」の意味・わかりやすい解説

田中美知太郎【たなかみちたろう】

哲学者。新潟県生れ。京大卒。京大教授。日本のギリシア・ラテン文化研究の先駆者で,戦争中は軍国主義ファシズムを批判し,戦後は〈進歩的文化人〉にも批判的であった。主著《プラトン》など。《田中美知太郎全集》全26巻がある。1978年文化勲章。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田中美知太郎」の解説

田中美知太郎 たなか-みちたろう

1902-1985 昭和時代の哲学者。
明治35年1月1日生まれ。昭和25年京大教授。ギリシャ哲学,とくにプラトン哲学の研究とその翻訳紹介につくす。日本西洋古典学会を設立し,委員長。ジャーナリズムの世界でも健筆をふるい,日本文化会議理事長をつとめた。53年文化勲章。昭和60年12月18日死去。83歳。新潟県出身。京都帝大卒。著作に「ロゴスとイデア」「善と必然との間に」「プラトン」など。

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