田上(読み)たなかみ

精選版 日本国語大辞典 「田上」の意味・読み・例文・類語

たなかみ【田上】

滋賀県大津市南部、瀬田川左岸の地域名。平安中期、源経信・俊頼が住んでいた。中世、田上荘あるいは大石荘ともよばれた。「たのかみ」とも。
書紀(720)神功皇后摂政元年三月・歌謡淡海の海 瀬田の渡りに 潜く鳥 多那伽瀰(タナカミ)過ぎて 宇治に捕へつ」

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デジタル大辞泉 「田上」の意味・読み・例文・類語

たなかみ【田上】

滋賀県大津市南部の地名。田上川は網代あじろ氷魚ひおをとる名所。[歌枕
「―やせぜの早瀬やなさして」〈曽丹集

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日本歴史地名大系 「田上」の解説

田上
たなかみ

中世の文献にみえる広域通称名。とくに瀬田せた粟津あわづ方面と、西方の山城宇治方面および信楽を経て伊賀・伊勢へ抜けるうえでの要所として頻出する。「輿地志略」は広域地名として田上郷をあげ、黒津くろづ庄四村(稲津・黒津・太支・関津)まき庄六村(牧・中野・芝原・新免・平野・桐生)中杣なかそま(里・枝・羽栗・堂・是世・森)の三地区を含むとする。この区分が中世の田上牧庄田上中庄田上杣庄をどの程度反映したものか未詳だが、近世には相論などを通じてそのつながりがうかがえる。なお是世村は不明。「吾妻鏡」建久元年(一一九〇)五月一〇日条に「田上報恩寺」とあり、源頼朝の同母妹である一条能保室の四十九日の布施料に同所の年貢を充てよと守護佐々木定綱に命じている。

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改訂新版 世界大百科事典 「田上」の意味・わかりやすい解説

田上[町] (たがみ)

新潟県中部,南蒲原郡の町。1973年町制。人口1万2791(2005)。越後平野中部,信濃川東岸にあり,東部は魚沼丘陵北端にあたる。中世には護摩堂山に羽生田(はにゆうだ)氏の居城が築かれた。近世には新発田藩領となり,信濃川沿いの低湿地の新田開発が進められた。信越本線の羽生田,田上の両駅があり,旧新潟市と旧長岡市の中間に位置するため,住宅地化が進み,人口が増加している。農地は減少しているが,東部の山麓では桃の栽培が盛ん。南部の羽生田は良質の粘土を産し,古くから瓦の生産地として知られ,式内社土生田(はにゆうだ)神社がある。護摩堂山城跡はハイキングコースとなっており,山麓には湯田上温泉がある。了玄庵のツナギガヤは親鸞にまつわる越後七不思議の一つとして知られ,ツナギガヤ自生地とともに天然記念物に指定されている。
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