用捨(読み)ようしゃ

精選版 日本国語大辞典 「用捨」の意味・読み・例文・類語

よう‐しゃ【用捨】

〘名〙
① 用いることと捨てること。採用することとしないこと。取捨
※菅家文草(900頃)七・清風戒寒賦「物之用捨、天亦施為」
※本化摂折論(1902)〈田中智学〉一「一代の仏経をはじめ、一切世間の道法名教に対し、用捨(ヨウシャ)活殺の自由を占めて居るのが、法華経であるから」 〔晉書‐范弘之伝〕
② (①が思慮にもとづいて行なわれるところから) 採否・良悪・正邪などの判断力分別。考え。
※細川勝元記(15C後)「子息兵庫貞宗は用捨ある人にて」
③ 用いないこと。必要としないこと。また、やめること。辞退すること。
※浮世草子・好色一代男(1682)二「仮初にもかかる一座にて、年せんさくは用捨(ヨウシャ)あるべし」
④ ゆるすこと。大目に見ること。寛容すること。容赦
日葡辞書(1603‐04)「Yôxa(ヨウシャ) スル」
※浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)四「ぬす人の取のこしと申事があれば、御用捨(ごヨウシャ)を頼みます」
⑤ ひかえめにすること。遠慮すること。手加減すること。容赦。
高野山文書‐文祿四年(1595)一一月二三日・興山上人応其書状「対愚老御用捨之段畏入候」
⑥ 自重すること。自愛すること。
※黒住教教書(1909‐20)文集・文政四年一二月朔日「少々御腫物にて御難義遊ばし候由、随分御用捨専一に可成候」
[語誌]→「ようしゃ(容赦)」の語誌

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デジタル大辞泉 「用捨」の意味・読み・例文・類語

よう‐しゃ【用捨】

用いることと、捨てること。取捨。また、その判断力。
まつりごと善悪を見るには、賢臣の―を見るにしかず」〈太平記・一三〉
必要としないこと。やめること。
「年せんさくは―あるべし」〈浮・一代男・二〉
容赦ようしゃ

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普及版 字通 「用捨」の読み・字形・画数・意味

【用捨】ようしや

採否。用不用。〔旧唐書、顔真伝〕眞、皇ひ、先づ五陵・九して、而る後に宮にらんことをふ。宰相元載、眞に謂ひて曰く、の見る美なりと雖も、其の事宜に合はざるを如何せんと。眞怒りて、(すす)みて曰く、用は相に在るのみ。言ふ何の罪かあらんと。

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